商船三井が「海洋温度差発電」の実用化に乗り出す。海の表面と深層で海水の温度が大きく変わる点を利用して発電するもので、再生可能エネルギーの一つだ。2025年ごろに出力1000キロワット規模の発電所の稼働を目指す。既存設備を活用することで発電コストを洋上風力より安くする。多くの場所に展開できればエネルギー源の多様化につながる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は同方式による潜在的な発電
商船三井が「海洋温度差発電」の実用化に乗り出す。海の表面と深層で海水の温度が大きく変わる点を利用して発電するもので、再生可能エネルギーの一つだ。2025年ごろに出力1000キロワット規模の発電所の稼働を目指す。既存設備を活用することで発電コストを洋上風力より安くする。多くの場所に展開できればエネルギー源の多様化につながる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は同方式による潜在的な発電
米フロリダ州フォートローダーデールにあるエバーグレーズ・ホリデーパークのビルマニシキヘビ。ボブキャットがこの外来ヘビの巣を荒らすことが新たに確認され、好ましい兆候とされている。(PHOTOGRAPH BY RHONA WISE, AFP, GETTY IMAGES) 米国のフロリダ州南部で、在来動物のボブキャット(Lynx rufus)が外来種であるビルマニシキヘビ(Python bivittatus)の巣を荒らし、卵を食べる様子が自動カメラで初めてとらえられた。一連の写真は、州南部に広がる湿地帯「エバーグレーズ」にあるビッグサイプレス国立野生保護区で2021年6月に撮影された。 この数十年間、フロリダ州南部では外来種のビルマニシキヘビが激増しており、特にエバーグレーズで顕著だ。だが、ビルマニシキヘビは非常に見つかりにくく、追跡も難しいため、詳しい行動や生態系への影響の全体像はいまだ明らか
これまでに僕たちが行った桜沢池の調査で、11種の生物が確認されているが、その顔ぶれに危機を感じる。在来種はドジョウ、ニホンスッポン、ニホンマムシ、アズマヒキガエル、スジエビ。特にアズマヒキガエルの大繁殖地になっていて、春は水際がオタマジャクシで真っ黒に染まるほどだ。ニホンスッポンとニホンマムシは絶滅危惧種だし、これらを見るとむしろ良い池だなという印象を受ける。 問題は外来種だ。オオクチバス、ブルーギル、コイ、アカミミガメ、ウシガエル(写真2)、アメリカザリガニの6種類で、いずれも「侵略的外来種」と位置づけられるものだ。日本中、どこの池に行ってもどれかは出現することから、僕は「外来種御六家」と呼んでいるが、その全種がこの池には勢揃いしている。
私は数年前、地元のデイセンターでボランティアをした。このセンターは主に地域のホームレスの人々を支援している。私の仕事は、寄付された衣料品の山の中から生活に困窮している人々の役に立つ「お宝」、つまり鮮やかなブラウスやテーラードコートなどを見つけ出すことだった。 しかし、すべての服が再利用されるわけではない。例えば、シミのついたGAPのTシャツや何カ所も破れたズボンは、即ゴミ箱行きになった。 ゴミとして廃棄される古着が増えている。一方、流行の移り変わりが激しいファストファッションの人気はうなぎ登りだ。コロナ危機により、衣料品全体の売り上げは激減したが、Eコマース(EC)経由の売上は順調に伸びている。買ったものを置く場所を作るため、巣ごもり中の人々はクローゼットの整理に精を出し、大量の衣料品が慈善団体に寄付されることになった。 しかし、地域で再利用されると思って寄付した服は、工場の雑巾やカーペッ
米アラスカ州カチェマック湾の氷上で休むハクトウワシの群れ。生涯を通じて猟銃の弾薬に含まれる鉛にさらされる。(PHOTOGRAPH BY ALAN MURPHY, BIA VIA MINDEN PICTURES) 米国に生息するハクトウワシ(Haliaeetus leucocephalus)とイヌワシ(Aquila chrysaetos)の成鳥の半数近くが慢性的な鉛中毒に陥っていることが、2月17日付けで学術誌「Science」に発表された研究で明らかになった。研究者らは38州における1210羽のワシの体内の鉛濃度を調査した。従来の研究の域を越えた、北米ではこれまでで最大の取り組みだ。 その結果、成鳥のほぼ半数で、骨の鉛濃度が10ppm(ppmは100万分の1)を超えていた。病理学者が慢性鉛中毒と定義する値だ。また、急性鉛中毒とされた状態も約3割に及ぶ。 汚染源は弾丸だ。ワシはハンターが撃っ
温泉が湧く森で餌を食べるマナティー。米国フロリダ州では、冬の寒さと主食である海草の深刻な不足がマナティーに死をもたらしている。(PHOTOGRAPH BY JASON GULLEY) 2021年の冬、1100頭を超えるフロリダマナティーが命を落とした。原因は寒さと餌不足だ。フロリダ州の野生生物当局によれば、2022年も1月だけで97頭の死が確認された。フロリダ州に生息するマナティーの数は推定5700〜7500頭だ。 死亡事例の多くは、フロリダ州東海岸の真ん中にある全長約250キロのインディアンリバー・ラグーンで発生している。ここでは、農業肥料や住宅開発による汚染が数十年前から続き、マナティーの主な餌である海草が広範囲にわたって枯れている。(参考記事:「430頭以上のマナティーが死亡、前年の3倍ペース」) フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)の獣医師マルティーヌ・デ・ウィット氏によれば
世界自然保護基金(WWF)の英国支部は先ごろ、「Non-Fungible Animals」(NFA)と呼ばれるNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)シリーズを発売した。 13の絶滅危惧種のデジタルアートが販売中だ。各NFAの販売数は、その種の個体数を上限とする。つまり、キタシロサイについては2つ、ジャイアントパンダについては1860個のNFAが販売される。そのほか、アムールヒョウ、コガシラネズミイルカ、リカオンなどのNFAが販売されている。 WWFは各NFAからの収益について、「世界各国できわめて重要な保護活動」に充てられると説明し、「われわれは、キタシロサイやヒョウ、ゴリラなど、非常に大切な野生動物を、密漁や生息地の消失といった脅威から守る手助けをしている」と述べた。 WWFドイツ支部は2021年にNFAを発売している。2022年2月4日時点での収益は約24万
2021年4月、水槽内を泳ぐ雌のメキシコサラマンダー。(Photograph by Luis Antonio Rojas) メキシコに、奇妙な両生類のラベルが貼られた地ビールがある。描かれているのは羽のようなエラを持つメキシコサラマンダー(アホロートル)、日本ではウーパールーパーの名でかつて人気を博した絶滅危惧種だ。 首都メキシコシティーにある地ビール醸造所モンストロ・デ・アグアは、自社のビールすべてにメキシコサラマンダーのラベルを貼っている。この生物の危機をメキシコの人々にもっと知ってもらうためだと、創業者のマティアス・ベラ=クルス・ドゥトレニット氏は言う。「わが社がいい製品を作れば、メキシコサラマンダーの保護をより効果的に訴えることができます」 2019年12月、メキシコシティーのソチミルコにある運河に設置されたチナンパ(作物を育てるための人工の浮島)のそばで船を漕ぐ農夫。(Photo
南アフリカのマディクウェ動物保護区に暮らす2頭のオスのキリン。野生のキリンの個体数は、2015年から大幅に増加している。(PHOTOGRAPH BY SHANNON WILD, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 「静かなる絶滅」に向かっていると言われているキリンが、新たな調査によると、個体数を増やしつつあるという。昨今の自然保護においては珍しい、明るいニュースだ。 最新の調査データを分析したところ、現在のアフリカ大陸のキリンの個体数の合計は約11万7000頭。前回大規模な調査が行われた2015年の推定数から、約20%増加している。 アフリカ南西部の国ナミビアに拠点を置く「キリン保全財団」の共同代表ジュリアン・フェネシー氏によると、純粋に数が増加した地域もあるが、統計データの精度が上がったことも一因という。同氏は、「いずれにしろ、このように数が増えるのはうれしいことです」と
インドネシアには写真のボルネオオランウータンを含む3種のオランウータンが暮らしている。いずれも絶滅の危機にひんしているが、オランウータンの殺害や取引で最高刑に処された者はいない。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING, PICTURE LIBRARY) インドネシア中部カリマンタン州で2018年前半、頭のないオランウータンの膨れ上がった死骸が川に浮かんでいるのを村人が発見した。 このボルネオオランウータンは空気銃で17回撃たれ、複数の肋骨(ろっこつ)が折れ、首を切り落とされていた。2人のゴム農家が逮捕され、正当防衛を主張したが、違法な殺害で有罪判決を受けた。2人は6カ月の実刑と50万ルピア(約4000円)の罰金を科された。(参考記事:「オランウータン、16年間で15万頭失われる」) 法律で定められている最高刑とは程遠い判決だった。オランウータン関連の犯罪は「インドネシア
特大の試験管「メソコズム」の外側に藻類が繁殖して日光を遮らないようにブラシで清掃するスキューバダイバー。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL SSWAT, GEOMAR) ここはアフリカ北西部の沖合にあるスペイン領カナリア諸島、グラン・カナリア島の静かな村。夜明け前の港を科学者のチームが足早に歩いてゆく。目指すは、並んで海に浮かぶ9つの大型試験管「メソコズム」だ。 「急ごう、もうすぐ明るくなる」。目を充血させた研究者が、箱形の重そうな装置を1つのメソコズムの中に沈めた。発光する生物の活動を測定する装置だ。「明るくなってからだと測定値に影響するのです」と説明してくれた。 ウレタン樹脂でできたメソコズムは、8000リットルの海水で満たされ、それぞれに異なる量の石灰岩が混ぜられている。石灰岩は炭酸カルシウムを主成分とする岩で、水に溶かすとアルカリ性になる。 このとき研究チームが取り組んで
冬の山といえばスキーですが、「狩猟」の場としての顔もあります。日本の場合、鳥獣の狩猟期間は安全確保の観点から木の葉が落ち見通しの良い、かつ鳥類の繁殖や渡りに影響のない冬期に限定されています(都道府県によって期間は若干異なる)。 私の住んでいる静岡県では、11月1日より銃によるニホンジカ(以下シカ)・イノシシ猟が解禁となり、他の都府県よりやや早いスタートとなりました。静岡県で一足先にこれらの種の猟が解禁になるのは、頭数を減らす目的があるからです。 今回は、その中でもシカに焦点をあて、シカ増加の原因と、シカがもたらす問題について解説していきます。 シカは「20世紀後半」に急増 シカの個体数は、時代によって増減を繰り返してきました。環境省によると、全国のシカ(北海道を除く)の推定個体数は 189 万頭( 2019 年度)で、2014 年度をピークに減少傾向にありますが、生息数を国が目指す適正水準
島根県宍道湖におけるウナギとワカサギの激減と殺虫剤ネオニコチノイドの関連をひもとく論文が、学術誌「Science」に発表されたのは2019年のこと。この研究を主導したのが、宍道湖の研究をライフワークとする東京大学教授の山室真澄氏だ。その核心はナショジオのニュースでも紹介したが、科学ミステリーのような山室氏の新刊『東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス 魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』(つり人社)から、ネオニコチノイド系殺虫剤がウナギやワカサギのエサに及ぼした悪影響についてのエピソードを紹介する。(全3回) 動物プランクトンとエビ類が激減 ネオニコチノイド系殺虫剤は昆虫類の神経系に作用するが、同じ節足動物である甲殻類の神経系は昆虫類とほぼ同じだ。となると、宍道湖の魚にとってエサとして重要な動物プランクトンの大部分を占めるキスイヒゲナガミジンコは、もしかしたらネオニコチノイド系殺虫剤の
島根県宍道湖におけるウナギとワカサギの激減と殺虫剤ネオニコチノイドの関連をひもとく論文が、学術誌「Science」に発表されたのは2019年のこと。この研究を主導したのが、宍道湖の研究をライフワークとする東京大学教授の山室真澄氏だ。その核心はナショジオのニュースでも紹介したが、科学ミステリーのような山室氏の新刊『東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス 魚はなぜ減った? 見えない真犯人を追う』(つり人社)の「第1回」から、謎解きに至るまでのエピソードを抜粋して紹介する。(全3回)
魚類と呼ばれる動物は5億年前から地球に存在し、現在の世界の海や川には3万3462種もいるとされる。魚類がうまれてからの5億年の間には、すべての生物種の9割以上が絶滅した大量絶滅時代(約2億5100万年前、ペルム紀末)があり、魚類も大部分が絶滅した。 本書で対象としているのは、そんな壮大な物語ではない。全魚類ではなくウナギとワカサギの2種類だけ。そのうえ世界全体ではなく日本、それも島根県の宍道湖という汽水(=海水と淡水が混じった水)の湖で起こったできごとが中心だ。この湖では1993年からウナギとワカサギがまったく漁獲されなくなるくらい減ってしまった。その原因は何か? 著者は水田で使われる農薬の一種であるネオニコチノイド系殺虫剤の影響だと考えている。 宍道湖は面積79㎢の日本で7番目に広い湖で、湖当たり年間漁獲量は長年、日本一をキープしている。漁獲量の大部分は魚ではなくヤマトシジミという二枚貝
英ロンドンのケンジントン公園。訪れた人々がホンセイインコに餌を与える。中央アフリカや南アジアが原産だが、英国で着実に個体数を増やしている。(PHOTOGRAPH BY RICHARD BAKER / IN PICTURES VIA GETTY IMAGES) 10月下旬の穏やかな日、私は英ロンドン中心部のケンジントン・ガーデンズにいた。20人ほどの人が、騒がしいインコの群れに餌を与えている。真っ赤なくちばしにエメラルドグリーンの羽をもつエキゾチックな鳥たちは、注目を浴びることにも慣れっこだ。リンゴの芯や木の実を喜んで差し出す大人や子どもたちの手に、臆することなく舞い降りる。なかには頭の上に乗るものもいる。 ロンドンには推定3万羽のホンセイインコが暮らしており、ケンジントン・ガーデンズは数ある生息地のひとつだ。しかし、彼らは本来ここにいるべき生物ではない。原産地は南アジアおよび中央アフリカだ
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