鉄道事業者はいま、乗客の減少に直面している。ローカル線だけでなく、JR各社の幹線や大手私鉄も乗客の減少傾向が続き、運賃収入は下がっている。言うまでもなく、新型コロナウィルス感染症拡大を防ぐため、外出自粛やリモートワークで乗客が減っているからだ。 鉄道運賃・料金制度が大きく変わろうとしている。写真はイメージ(提供 : 写真AC) 大都市の鉄道は、膨大な通勤・通学利用者のために設備投資を続けてきた。乗車回数の多い利用者のために、「通勤定期」「通学定期」という割引制度もつくった。乗客の受入れ体制も整えた。車両数を増やし、車庫の土地を確保し、駅の規模を大きくした。つまり、運賃単価の安い人々のために莫大な投資をしてきた。それも「利用者が多いから」だった。薄利多売の成果として、投資に見合う運賃収入があった。ところが、利用者が減ると薄利多売のバランスが崩れる。薄利のまま少売になる。 一方、公共交通として