上智大学 准教授 植田 今日子 日本で「むら」や集落といって思い浮かぶのは、どのようなイメージでしょうか。 のどかで自然が豊かというイメージを抱く人もいるかもしれませんが、よく耳にする「限界集落」という言葉から、人が少なくて高齢者の多い「何にもないところ」と捉えている人も少なくないでしょう。今日お話しするのは、そんなむらや集落が、どうして日本のあちこちで長らく築かれてきたのか、その理由についてです。 その主な役割は「資源管理機能」、「生産補完機能」、そして暮らし一般を互いに支え合う「相互扶助機能」と呼ばれています。どんな人や家も、生まれてから死ぬまでずっと、幸福で難なく過ごせるということはなかなかないのが常でしょう。地震、火事、洪水、津波など、自然災害に直面して、困難な状況を切り抜けなければならないときもあります。むらはそんな、どの家でも直面する局面を、家単独ではなく、組織的に受け止めよう