スーパーコンピューター「京」開発の立役者、井上愛一郎氏(理化学研究所計算科学研究機構統括役)にインタビューする機会を得た。井上氏は気さくな話し好きで、2時間近くに及んだ取材の最後に最も聞きたかった質問を投げた。「そう遠くない将来、コンピューターが知性で人類を追い抜くことがあるのか」と。 井上氏は「人間には到底達成しえないような冷静、的確な判断は、コンピューターのほうがはるかに上になる」と答えた。ちょうど2年前、京が世界一を達成した際にノーベル賞学者の野依良治博士と並んで記者会見したスパコン界の第一人者は、インタビューで、「弁護士や医者など専門職といわれている分野で、コンピューターのほうが人間に勝っていく」と断言した。 「テクノロジーの進化が指数関数的な速度で拡大し、2045年にはコンピューターを基盤とした人工知能(AI)が人類全体の知能を追い抜く。それにより人間の生活が後戻りできないほどに