ドラマの時代考証担う専門家の仮説 八重はいったいどうなったのか。これについて史料は一切語らないが、ありがたいことに、今回のドラマで時代考証の筆頭を務めている坂井孝一氏がその著書『鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(NHK出版新書)で、断片的な状況証拠から、大胆な仮説を提示してくれている。 氏の仮説の結論だけを述べれば、八重は同母姉の夫である三浦義澄(佐藤B作)に預けられたのち、「阿波局」という呼び名で、頼朝の御所で官女として働き出す。頼朝としては北条政子の手前、妾にすることはできないが、いつまでも近くに置いた。誰かの妻にすれば政子も安心するだろうと考え、江間氏の所領を受け継いだ北条義時と再婚させた。そうした生まれた男子が、義時の後継者となる北条泰時——。 確かに大胆な仮説だが、非常に面白く、ドラマの落としどころにも適しているのではないか。三谷氏がこの説にのっとってくれれば