内閣府が25日発表した国民経済計算の年次推計によると、豊かさの目安となる日本の2022年の1人あたり名目国内総生産(GDP)は3万4064ドルとなった。イタリアに抜かれて主要7カ国(G7)で最下位だった。円安が大きく影響したが、長期的な成長力の低迷も映している。21年の4万34ドルから減った。経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中でも21位と、21年の20位から順位を落とした。21位に転
Published 2023/12/25 18:11 (JST) Updated 2023/12/26 09:30 (JST) 内閣府は25日、2022年の日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)がドル換算で3万4064ドルとなり、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中21位だったと発表した。比較可能な1980年以降で最も低い順位となり、先進7カ国(G7)でも08年以来の最下位に沈んだ。 円安が大きく響き、金額は前年から約15%下落。円ベースでは448万円だった。 首位は欧州有数の金融センターを有するルクセンブルクの12万4592ドル。2位ノルウェー、3位アイルランドと続いた。米国は7万6291ドルの5位でG7構成国ではトップ、イタリアが20位だった。このほか韓国が3万2423ドルで22位だった。 22年の日本の名目GDPは4兆2601億ドルで米国、中国に次ぐ3位の地位は維持した。だが
HVの増加とEVの遅れ さまざまな技術的課題を抱えながらも、世界的に普及が進む電気自動車(EV)。その一方で、日本での状況は立ち遅れているといわざるを得ない。 2023年11月の日本国内での軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は、34万4045台だ。この数字は新型コロナウイルスの影響を受ける以前の、 ・2018年11月:35万7307台 ・2019年11月:31万5735台 に匹敵する。 ただし、この数字に占めるEVの割合は小さく、34万4045台のうち、EVが占める割合はわずか 「3.2%」 である。このうち、 ・バッテリー式電気自動車(BEV)のシェア:1.9% ・プラグインハイブリッド車(PHV)のシェア:1.35% である。 一方、ハイブリッド車(HV)を含む電動車全体のシェアは、前年の48.6%から53.6%へと大きく伸びている。この伸びは、環境意識の高まりや燃費の良さから、多くの
日本株が好調だ。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は、5月に入ってから平成バブル崩壊後の最高値を更新。6月も7日にそろって再び更新した。 「日本株の復活」についての要因はさまざま挙げられるだろうが、TOPIXの年初来リターンは約18%(6月9日現在)であり、米国株の代表的な指標であるS&P500種指数(同約12%)を上回っている。年末まではまだ長いが、このままなら2022年に続いて2年連続で日本株が米国株をアウトパフォームする(上昇率で上回る)ことになる。 日本株好調の「真の要因」は何か 一方、ドイツ、韓国、台湾などの株価指数は2023年初から日本株に先行して上昇していた。実は日本株は4月まで出遅れており、5月半ばからの大幅高で、それらの国の株価にほぼ追いついた。米国株や中国株への投資資金が年初から米中以外にシフトする中で、5月に日本株にも本格的な投資資金が入ったとみられる。 ちなみ
このところ、「現代サプライサイド経済学」が注目を集めている。イエレン米財務長官がバイデン政権のアジェンダとして掲げるこの「経済学」については、経済成長と格差是正の同時達成を目指す画期的なプランと評する向きが日本にもあるようだ。だが、はたしてこれは「新しい」経済政策と言えるのだろうか。以下ではこのことについて考えてみたい。 サプライサイド経済学の「位相」 今から40年ほど前にも「サプライサイド経済学」が注目を集めたことがある。これは税制と社会保障制度の歪みが貯蓄不足と投資不足をもたらしているという認識に立って税制改革と年金改革を行うとともに(主な提唱者はハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授(当時))、規制緩和を通じて供給面から経済の活性化を図ろうというアイデアだ。 もっとも、より一般的には、サプライサイド経済学はラッファーカーブとともに記憶されているかもしれない。南カリフォルニア
日銀の黒田東彦総裁は、円安は日本の輸出を押し上げるので「純便益」であると、繰り返し述べている。しかし、円安が進みすぎた結果、今やコストのほうがメリットを上回るようになっている。円安は食料品、エネルギー、その他の必需品の価格を上昇させている。 さらに、6月の調査では、調査対象の企業の半数近くが円安により打撃を受けていると答えた(「円安が業績に貢献している」と答えたのはわずか3%だった)。そのうえ、日銀が認めているように、円安は過去ほど輸出を押し上げてはいない。 日本での価格上昇は食料品とエネルギーに偏っている 日本、アメリカ、そしてヨーロッパを襲うインフレは、それぞれ異なるものであり、それゆえに異なる対策が必要である。 2022年4〜7月期の日本のヘッドラインインフレ率(食料品やエネルギー価格を含む総合インフレ率)は2.2%と、アメリカの8.6%、ユーロ圏19カ国の8.1%に比べて低いだけで
コロナ第7波、ウクライナ情勢、そしてインフレ。世界経済は新たな転機を迎えている。明日の行方すら分からない時代、果たして日本はどこに向かうのか。経済学の泰斗、ポール・クルーグマン教授が語り尽くす。 前編記事『「インフレ後の世界で日本だけがダメになる」経済学者クルーグマンの最終通告』に引き続き紹介する。 根本的なデフレ脱却に至っていない 本題に入る前に、安倍氏の銃撃については、当然私もショックを受けています。日本で元首相が殺害されるとは誰も予想していなかった。心からお悔やみを申しあげたい。 しかし、その話とアベノミクスについての評価は別の話です。遡ること2016年3月22日、私は当時の安倍氏に直接会って、消費増税はすべきでないと進言しました。ですが、安倍氏は私を裏切る形で2019年10月に10%へと消費税を引き上げました。これは大きな失策と言わざるをえません。 そもそも、消費増税とは緊縮財政で
「年収200万で暮らせるわけない」 「病院にも行けない」悲痛な声も Twitterでは「年収200万で豊かに暮らせるわけねぇだろ」「年収200万だと、金がもったいないと思っちゃって病院に行く気すらも起こらないんだよ」といった意見や「こういうのがスタンダードになると、日本全体が豊かじゃなくなり、衰退する」と日本の将来を不安視する意見も上がった。 戦時中のスローガン「欲しがりません勝つまでは」「贅沢は敵だ」などを引用して批判する意見や、この書籍の価格が759円であることから「年収200万円なら、そもそもこの雑誌は高くて買えない」などの意見も出た。 “「年収200万円」論争”には、作家の古谷経衡さんも参戦。自身の公式Twitterアカウントで「『年収200万で豊かに暮らせます』というコンセプトの雑誌は、あなたに奴隷でいる事を強いるプロパガンダだ」と痛烈に批判し「年収200万で豊かに暮らせることは
<円安は日本企業の輸出に有利になるとされてきたが、現在の円安で日本経済はメリットを享受できていない。その構造的な問題とは> 円安が急速に進んだことで、「悪い円安」論に注目が集まっている。円安は日本経済にとって追い風になるというのがこれまでの通説だったが、今回はそれとは真逆の反応となっている。 理由の1つとされているのが、製造業の現地生産化による相対的な輸出の減少である。現地生産化によって円安メリットが減っているのであれば、生産拠点を日本に戻せばよいという見方も出てくるかもしれないが、そう単純な話ではない。 日本の製造業は1990年代以降、コストが安い中国や東南アジアに生産拠点をシフトしてきた。2020年度における日本企業の海外生産比率は22.4%となっており、90年度(4.6%)と比較すると大幅に増えている(内閣府調べ)。海外生産比率が上昇すると、日本からの輸出が減るので、円安のメリットを
梶谷 懐 神戸大学大学院経済学研究科。専門は現代中国の財政・金融。著書に『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、2011年、大平正芳記念賞受賞)、『日本と中国、「脱近代」の誘惑:アジア的なものを再考する』(太田出版、2015年)、『日本と中国経済』(ちくま新書、2016年)、『中国経済講義』(中公新書、2018年)など。 一方、一時的に非常に厳しい都市封鎖をしたことで、農民工(農村から都市への出稼ぎ労働者)の多くが田舎に帰ることになりました。都市でも仕事を失った人が多くいます。最大瞬間風速で、7000万人から8000万人程度の雇用が失われたと推定されています。これに対して、中国政府は非常に素早い金融緩和を実行しました。社会保険料の減免や繰り延べといった手を打つのもとても早かったですね。 他の主要国だとコロナの抑え込みは基本的にできていない代わりに、感染拡大に伴う経済的な打撃に対す
<順調に給料が上昇する諸外国と比べて、日本の賃金低迷はいよいよ顕著に。企業への賃上げ要求では解決不可能な根深い原因とその処方箋> 日本人の賃金が全くといってよいほど上昇していない。賃金の低下は今に始まったことではないが、豊かだった時代の惰性もあり、これまでは見て見ぬふりができた。だが諸外国との賃金格差がいよいよ顕著となり、隣国の韓国にも抜かれたことで、多くの国民が賃金の安さについて認識するようになっている。 OECD(経済協力開発機構)によると、2020年における日本の平均賃金(年収ベース:購買力平価のドル換算)は3万8515ドルと、アメリカ(6万9392ドル)の約半分、ドイツ(5万3745ドル)の7割程度。00年との比較では、各国の賃金が1.2倍から1.4倍になっているにもかかわらず、日本はほぼ横ばいの状態であり、15年には隣国の韓国にも抜かされた<参考グラフ:各国の平均賃金(年収)の推
日本円の実力を示す「実質実効為替レート」が50年ぶりの円安水準にまで下落している。50年前といえば、1971年のニクソン・ショック(ドル・ショック=金・ドル交換停止)があった時代だ。日本の通貨の価値が、この時の水準まで下落したという意味を考えなければいけない。 日本が円という通貨を採用したのは1871(明治4)年のことだ。円の価値は1ドル=1円からスタートした。第二次世界大戦開戦前は実勢レートで1ドル=2円ほどだった。ところが敗戦後の1949年、連合国軍総司令部(GHQ)によって「ドッジ・ライン(財政金融引き締め政策)」が実施され、1ドル=360円の為替レートが決まった。つまり敗戦によって、円の価値が180分の1にまで下落したのだ。 そこから日本は、鉄鋼・エレクトロニクス・自動車産業という基幹産業を育てて外貨を稼ぎ、「工業生産力モデル」の優等生として突き進み、豊かな経済を実現してきた。その
2020年1月21日、ベルリンで開催された初音ミクのコンサートに集合した熱心なファンたち。ヨーロッパ全域から集まった彼らの中からも、クリエイター経済が生まれている。 <これまで無名だった無数のクリエイターたちが、個人の力によって、ネット上で収益を得る機会が増大し、世界中で「クリエイター経済」が急速に台頭している> ベルリンはこの20年で、クリエイティブ産業の首都として発展し、ベルリン経済全体の成長をもたらしてきた。現在、ベルリンのクリエイティブ産業を支えているのは46,000 社、23万人の従業員であり、その年間売上高は360億ユーロ(約4兆7,250億円)に上る。 今日、創造性はベルリンの重要な資本の1つであり、アート、ファッション、デザイン、映画、音楽、演劇、メディア、そしてゲームまで、ベルリンを横切るシュプレー河畔は、クリエイティブ産業誘致のホットスポットとなってきた。 しかし、この
「日本は世界でもトップクラスの豊かな先進国である」というのは、多くの日本人にとって当たり前の話だった。 だがその常識は近年、音をたてて崩れ始めている。諸外国と比較して日本人の賃金は大幅に低くなっており、近い将来、中国や東南アジアに出稼ぎに行く人が増えるのはほぼ確実と言われている。 多くの読者の方は「そんなバカな」と思われるかもしれないが、日本が急速に貧しくなっているのは紛れもない事実である。私たちはこの厳しい現実を受け入れ、従来の価値観から脱却する必要がある。 平均賃金ではすでに韓国以下 OECD(経済協力開発機構)が行った賃金に関する調査は衝撃的だ。2019年における日本人の平均賃金(年収)は3万8617ドルだったが、米国は6万5836ドル、ドイツは5万3638ドルと大きな差を付けられている。 それだけではない。かつては途上国というイメージの強かった韓国ですら、4万2285ドルとすでに日
この20年間で僕たちは貧しくなりました。国の調査によると、1997年をピークに世帯所得が全ての所得階層で減少傾向に転じ、2018年には300万円未満が全体の約33%、400万円未満が約45%になりました。これは平成元年とほぼ同じ比率です。家計貯蓄率も97年度に大きく減少し始めます。日本全体の暮らしが地盤沈下したのです。 平成の間に何が起きたのか。消費の動きをみると、全体が減る中で、パソコンやスマートフォンにかけるお金、通信費だけが異常に伸びました。飲食や衣類、宿泊などの消費は減少ないし横ばい、教育費もそうです。1人当たりの額は高くなっているけど、子どもの数を減らして伸びを抑えたのです。65歳未満の持ち家比率もはっきりと落ちている。 ⇒第2回・大勢が苦しい、弱者とは何か 国の意識調査では、国民の9割以上が「私は中流だ」と答えます。でも「1億総中流」の意味は変わりました。豊かさの象徴ではなく、
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