私的ゴールデンウィーク恒例企画である「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする」を今年もやらせてもらう(過去回は「洋書紹介特集」カテゴリから辿れます)。 ワタシのブログの読者でも誰も気づいていないと思うが、一年前の2022年版をやった後、ワタシは本ブログにひとつの縛りを課してきた。 このブログはだいたいにおいて、(今回のようにひとつのエントリが特に長大な場合をのぞき)一度の更新で5つのエントリを公開するのだが、そのうちの最低ひとつは洋書を紹介するエントリにしてきた……と文章で書くとなんでもなさそうだが、これはなかなかに高いハードルだった。この一年、その縛りをまっとうするために洋書に関するアンテナを張ってきた感じである。 その代わりといってはなんだが、その縛りのおかげで今年の「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする」は、過去エントリを紹介するだけで苦も無く30冊の洋書(
269回 『あの子もトランスジェンダーになった』発売中止騒動を考える 2024年1月24日にKADOKAWAから発売される予定だった『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(著・アビゲイル・シュライアー/監修・岩波明/訳・村山美雪、高橋知子、寺尾まち子)が発売中止になった。 未成年の性別違和問題に触れた本だが、海外では資料の取り扱いや聞き取り相手の選択に関する手法に問題があると指摘されたり(同書が大きく参考にしているリサ・リットマン氏の研究自体がサンプルの選択に関する問題を指摘されているのだが)、トランスヘイト本であるという否定的な評価もある本である。 発売告知後、日本語タイトルやキャッチコピーがトランスジェンダーに対する偏見や差別を煽るものであると問題視され、海外での否定的評価を踏まえた上で同書がトランス差別のヘイト本にあたるとしてX(旧Twitter)
量子基礎論の初学者や専門家ではないと思われる方が事実であると誤解しやすい(かもしれない)五つのことがらを挙げてみたいと思います。 はじめに:誤解とは何か?この記事では,「事実とはいえないことを事実であると解釈すること」を『誤解』とよぶことにします。明らかに事実ではないことや現時点では事実であるか否かがわかっていないことを事実だと捉えることは,誤解といえるでしょう。また,物理学としての量子論に限定し,事実であるか否かを物理的な立場から考えることにします。各用語の定義として,できるだけ一般的と思われるものを採用することにします。 誤解1:量子論に『観測問題』は存在しない『観測問題』の定義によりますが,一般的には量子論の測定に関する各種の基礎的な(かつ未解決の)問題のことを意味するようです。たとえば,以下のような問題が考えられます。 測定は『誰』が行えるのか?(例:無生物は測定できるのか?) 測
井上純一氏のコミックス「逆資本論」【AA】が、アキバでは24日に発売になった(公式発売日は26日)。 今回発売になった「逆資本論」【AA】には、第1話〜第8話の「最強の巨人に挑む」・「脱成長共産主義はヤバい」・「マルクスの予言が当たる世界?」・「共産主義の最大の闇」・「どうにもならない共産主義」・「気候危機に挑め!!」・「地球も保険に入ろう」・「気候危機、唯一の解決法」・「未来を阻む最大の敵」と「あとがき 勝利の後に」を収録(もくじ)。 裏表紙は『気候危機は必ずやってくる!そして資本主義では解決が難しいのも事実!しかし脱成長共産主義は死への道だ!』で、オビ謳い文句は『「中国嫁日記」の井上家と学ぶ、資本主義のなかで気候危機から世界を救うためのマルクスの「資本論」!次に世界を変える者は、絶対この本を読んでいる!』、『脱成長共産主義(コミュニズム)は、地獄への道だ!』になってた。 気候変動により
お金がなかった。 学ぶためにどうしても必要な本なのに、青年はそれを買うお金がなかった。 だから毎日、お目当ての古本屋に行っては、やってはいけない禁じ手を使った。 そして、ついに店主に声をかけられてしまう。 「おい、お前、名前は何ていうんだ!」 DX、効率化、費用対効果、年が明け新しい取り組みがどんどん進んでいく。 だけど、数字に表れない大切なものだってきっとある。 (ネットワーク報道部 松本裕樹) 去年10月、日本には円安の嵐が吹いていた。 海外のモノが高くなり、その影響を取材しようと神保町の古本屋街に行った。 「海外の洋書を扱う店なら影響があるだろう」 それくらいの気持ちでたまたま電話をしてつながったのが、崇文荘書店という洋書の専門店だった。
アマゾンでは、本の売れ筋ランキングの総合で一時は9位となり、日本文学部門などで1位を獲得。反響を受けて、同作は3万5000部の緊急重版が決定したという。 出版から30年以上が経過した日本文学の巨匠作品に、なにが起こったのだろうか? TikTokの紹介動画が580万回再生 きっかけは、1人のTikTokユーザーによる動画投稿だ。 TikTokで小説を紹介する動画を投稿している「けんご(@けんご 小説紹介)」さんは2020年から動画投稿を行っており、若い世代に人気のTikTokクリエイターだ。 『残像に口紅を』は、話が進むごとに文字が1つ消えていく実験的な小説。使用できる文字が減っていく世界で生きる、一人の小説家の姿を描いている。 けんごさんは7月27日、本著を簡潔にまとめた30秒の動画を公開した。
そんな彼の新著、『ヒューマンカインド──希望に満ちた歴史』の英語訳が6月に刊行された。前著『隷属なき道』でベーシックインカムの必要性を論じたブレグマンだが、新著では、人間の本質という壮大なテーマに取り組んでいる。 従来の性悪説的な人間論を覆し、人類は本質的には善良な種であると主張する『ヒューマンカインド』について、英紙「ガーディアン」が著者本人にインタビューした。 「2020年の『サピエンス全史』的一冊」 多くの作家にとって、いまは本を出版するのに最悪のタイミングだ。書店は開いておらず、新刊のキャンペーンはどれもZOOMに移動。なにせ私たちは、伝染病を相手にしているのだ。 しかしルトガー・ブレグマンにとって、人間の存在を徹底的に見極めた新著『ヒューマンカインド』(未邦訳)を出版するには、いまは完璧な瞬間と言えるかもしれない。同書が主張するのは、ほとんどの人間は、明らかな欠点を抱えつつも基本
テレワークにはマナーがある、Zoom画面にも上座や下座がある。そんなこと決められては敵わない。テレワークのマナー本が出るというツイートに憤り、噂の元を追ってみたら……。ゲーム作家・米光一成は意外な雲行きに困惑している。 みんな怒った怒った Zoomの謎マナーがツイッターで炎上した。 会議の開始の5分前にはルームに入りましょう。 終わるときは深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す。 お客様より先に退出してはいけません。 そういったバカげたマナーが、『超基本 テレワークマナーの教科書』(西出ひろ子/あさ出版)という本に載っているというのだ。 みんな怒った怒った。ぼくも怒った。 マナー講師は、生産性を落とすので反社会的だ。 よけいなストレスをためる原因を捏造するな。 マナー講師は失礼クリエイターだ。 バッシングのツイートがたくさん流れた。 ぼくも、くだらないマナーを押しつけられるのは大嫌いだ。
部屋の中がなかなか片付かない、目につくのはたくさんの本……。そんな状況に陥ったことはありませんか。本をどうにか減らすべく、古本屋に売りに行ったり、ひもで縛って処分したりしたことがある人もいるかもしれませんね。 部屋の中をスッキリさせるために不要なものを捨てる「断捨離」は、一般的に良いこととされています。でも、ちょっと待ってください。本に関しては、その常識が当てはまらないかもしれません。本の断捨離によって知らず知らずのうちに失っているものがあることも知っておくべきです。 「断捨離」「ミニマリズム」は一時のブームに。しかし……? 不要なものを捨てて物への執着を減らし、生活の質の向上を狙う「断捨離」は、2010年の流行語大賞にノミネートされました。また、所有物をできるだけ減らし、必要最低限の物資で暮らす「ミニマリスト」も、2015年の流行語大賞にノミネートされています。どちらも一世を風びした言葉
最善策ではないが、このような非難を受けるものではないのではないか?というのが私の考えです。 私自身、地方で10年以上古書店に勤めており、ここに上がっている書籍の大部分を扱った経験があるためこのトピックについて言及する資格があるのではないかと思い筆をとりました。 発端はこちら 「高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」 https://news.google.com/articles/CBMiK2h0dHBzOi8vd3d3LmtvY2hpbmV3cy5jby5qcC9hcnRpY2xlLzIwNzg1My_SAQA?hl=ja&gl=JP&ceid=JP%3Aja 高知県立大焚書 知の機会奪う 職員「移行へダイエット」 https://www.kochinews.co.jp/article/207844/ 高知新聞のかなりセンセーショナルな見出しにSNS等で「遂に大
なぜ「野菜を食べると健康になる」という本は売れないが「野菜は食べるな」という本はベストセラーになりうるのか? このたび初の単著を出版させて頂くことになりました。タイトルは「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(東洋経済新報社)、発売日は4月13日になります。 この本は「エビデンスに基づく本当に健康になれる食事の本」です。今までの研究結果をまとめて、がんや脳梗塞になるリスクを下げるために有効な食事について説明しています。食事とダイエットの関係に関して何が分かっているのかも説明しています。内容としては私がブログに掲載した食事に関する記事(科学的根拠に基づく本当に体に良い食事、白米と健康の関係に関して分かっていること)を元に、日々の食事に関して知っておくべきエビデンスをカバーしたものになります。 日本は「野菜を食べると健康になる」という本は全く売れないが、「野菜は食べるな」という本はベ
東京都渋谷区の「MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店」で開催中のブックフェア「自由と民主主義のための必読書50」が21日に一時撤去され、並べる本を見直すことになった。運営会社が22日、HP上で発表した。きっかけは、書店員がつぶやいた「闘います!」などのツイートに対するネット上の批判だった。 フェアは9月20日ごろにスタート。安全保障関連法制に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」の「民主主義ってこれだ!」や、歴史社会学者の小熊英二さんの「社会を変えるには」、作家の高橋源一郎さんの「ぼくらの民主主義なんだぜ」などの書籍50種類前後がレジカウンター前の棚に並び、今月末まで開催予定だった。 だが、渋谷店の書店員が今月19日、「非公式」に開設したツイッターアカウントで、「夏の参院選まではうちも闘うと決めましたので!」「闘います。うちには闘うメンツが揃(そろ)っています。書店としてできることを
意識は科学で説明可能か? このとんでもなくハードな問題に突入する。ギリギリ捻られる読書体験を請け合う。 著者は現役の哲学者、意識という現象を自然科学的な枠組みのもとで理解するという問題(意識のハード・プロブレム)に、真っ向から取り組んでいる。「物理主義」や「クオリア」、「哲学的ゾンビ」「意識の表象理論」を駆使して、科学・哲学の両方に跨がる難問に挑戦する。[wikipedia:意識のハード・プロブレム]に興味がある方は、ぜひ手にして欲しい。深く遠いところまで連れて行かれるぞ。 ハードがあるなら、イージーもある。流行りの認知科学にありがちな、MRIやCT、電気パルスを用いて、脳状態と意識経験の相関を明らかにする研究だ。例えば赤い色を見たとき、脳のどの部位がどのような状態になっているかを解明する問題で、これが意識のイージー・プロブレムになる。怪しげな脳科学者が、「脳はここまで解明された!」と宣っ
Webエンジニアが知っておきたいインフラの基本 インフラの設計から構成、監視、チューニングまで 馬場俊彰 マイナビ出版 2,948円 (2,680円+税) Webサービスを高速化し、可用性を高めるスキルを身につける! Webエンジニアの仕事の幅を広げるためのインフラの知識をピックアップしてまとめました。インフラまわりの技術の基本から、インフラ基盤の手配の方法、設計のセオリー、システム監視、チューニングまで、ツボを押さえてまとめています。 関連サイト本書の関連ページが用意されています。 Webエンジニアが知っておきたいインフラの基本|マイナビブックス内容紹介本書は、Webアプリケーションエンジニアや、フロントエンドエンジニアを対象に、知っておくと便利なインフラの知識をまとめた本です。 担当しているWebサービスをもっと高速化させたい方や、バックエンドと最適化された無駄のないアプリケーションを
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