NASAの土星探査機カッシーニが、土星の衛星ミマスにフライバイし最接近してとらえた画像。巨大なハーシェル・クレーターがあるミマスは、映画『スター・ウォーズ』の宇宙要塞「デス・スター」に似ている。このミマスの地下全体に海がある証拠が示された。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE) 土星の衛星ミマスの地下全体に海がある証拠が発表され、天文学者たちを驚かせている。2004年から2017年にかけて土星探査機カッシーニが行った調査を新たに分析したところ、軌道周回中の「秤動(ひょうどう)」と呼ばれる揺れが、地殻の下が液体の海で占められているためであることが示された。論文は2月7日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。 地下海の存在はすでにいくつかの太陽系の天体でも確認されているが、ミマスもそのメンバーに加わることになる。また、
ヒトの脳細胞の位置とそれぞれの役割などを詳細に記述した「全脳細胞アトラス」が発表された。同様の試みは過去にもあったが、今回のアトラスは前例のない解像度で脳細胞を描き出している。 by Cassandra Willyard2023.10.24 1 16 この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。 科学者が初めて顕微鏡で脳組織を観察した時、目にしたのは非常に複雑に入り組んだ混乱状態だった。現代神経科学の父、サンティアゴ・ラモン・イ・カハルの研究に関する書籍『The Beautiful Brain(美しい脳)』(未邦訳)の著者は、カハルの経験を「1000億本の木が生えている森に入り込んで毎日そのうち数本が絡み合ってぼやけた断片だけを眺め、数年後にその森に分け入るためのフィールドガイド図鑑を書くようなもの」だったと表現した。 そして今、科学者たちはその「フィールドガイド」の初稿を作成
量子力学が語る世界像は,我々の日常的な感覚からはかけ離れている。なかでも想像しにくいのは,物体の基本的な性質を示す値が「測定によって立ち現れる」という点だろう。粒子の位置や運動量,光子の偏光,電子のスピンといった物理的性質は,物体にもともと備わっているものではなく,測定という外からの働きかけに応じて生まれるのだという。言い換えれば,測定していない性質は,物体に実体として存在してはいないということだ。 量子力学がもたらしたこの新たな世界観は,当初は物理というより哲学の範疇だとみられていた。だが1964年に物理学者ベル(John Bell)が提唱した不等式によって実験的に検証する道が開かれ,物理の問題として捉え直された。その後,数十年間にわたって繰り返し行われた実験は,新たな世界観を支持した。測定されていない値の実在は否定せざるを得ないと,今では多くの物理学者が考えている。 「測定には関係なく
この半世紀における最も衝撃的な発見の1つは,私たちの住む世界が局所的かつ実在的であるという,これまで当然とされていた前提が覆ったことである。ここでいう「実在」とは,物体が観測とは無関係に確定した性質を持つ,という意味だ。一方「局所的」とは,物体は周囲の環境からしか影響を受けないし,その影響が光より速く伝わることはない,ということを意味する。ところが量子物理学の最前線の研究は,この2つの性質が両立することはありえないことを明らかにした。 この発見は,私たちの日常的な経験とは大きく違っている。かつてアインシュタインはこれを嘆き,友人に「君は本当に,君が見ていないときには,月はそこにないと思うのかい?」と問うたという。作家ダグラス・アダムスの言葉を借りるなら,局所実在の前提を捨てることには「多くの人がたいへん立腹したし,よけいなことをしてくれたというのがおおかたの意見だった」(『宇宙の果てのレス
「物体は,誰もそれを測定しなくても,ある決まった物理的性質の値を備えている」「ここで起きた出来事が,はるか彼方の物体に瞬時に影響を及ぼすことはない」。この2つを合わせて「局所実在論」と呼ぶ。いずれも証明のない仮定だが,我々はごく当然のこととして受け入れている。 1964年,物理学者ベル(John Bell)が,局所実在論に「測定する者は測定する対象を自由に選ぶことができる」という自由意志の仮定を加え,自由意志と局所実在論の両方が正しいとしたら成立する,ひとつの不等式を見いだした。そして量子力学から予測される奇妙な遠隔相関「量子もつれ」がベルの不等式を破ることを,理論的に証明した。 その後,半世紀にわたって数々の実験が行われ,ベルの不等式が破れていることが確実となった。量子もつれの存在は実証され,代表的な実験を率いた物理学者3人は,2022年のノーベル物理学賞を受賞した。今日,多くの物理学者
超光速の視点から特殊相対性理論を拡張し、量子力学の基本原理を取り入れることが可能になるという理論の研究が発表された。超光速の世界は、3つの時間次元と1つの空間次元からなる時空で説明され、さらには超光速の物体が本当に存在する可能性もあるとしている。この研究は、ポーランドのワルシャワ大学と英オックスフォード大学によるもので、2022年12月30日付で『Classical and Quantum Gravity』に掲載された。 1905年に発表された特殊相対性理論によって、3次元空間に時間が4つ目の次元として加わり、これまで別々に扱われてきた時間と空間の概念がまとめて扱われるようになった。特殊相対性理論は、ガリレオの相対性原理と光速の不変性という2つの仮定に基づいている。 この2つのうち重要なのはガリレオの相対性原理だ。この原理では、全ての慣性系において物理法則は同じであり、全ての慣性観測者は同
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