2023年度予算案の衆院審議は、終始与党ペースで進んだ。 閣僚のスキャンダルが浮上せず、野党も攻めあぐねたことが大きい。岸田文雄首相は次第に強気な姿勢を見せ、子育て予算「倍増」や防衛費大幅増額の根拠を巡る答弁では「ゼロ回答」が目立った。 【ひと目でわかる推移グラフ】内閣支持率 「違う。政策を整理せずして数字をまず挙げろというのは無理な話だ」。首相は2月27日の質疑で、倍増の基準を示すよう再三求める立憲民主党の長妻昭政調会長に色をなして反論した。倍増の定義によって必要な予算は数兆円から20兆円と幅があるが、首相はその基準について「まず政策の中身を整理する」との答弁を繰り返した。 首相は当初、旧民主党政権の目玉政策「子ども手当」を酷評した野党時代の自民党について「反省」を口にするなど低姿勢に徹していた。だが、審議が進むにつれ「堂々と答弁を回避」する態度が垣間見えるようになった。 正面から疑問に