今年1月の高校サッカー選手権で史上初の“事件”が起きていた。優勝した東福岡の森重潤也監督は横浜フリューゲルスの前身である全日空のユースチーム出身。高校サッカーを経由せずプロ選手、指導者になった人物だ。帝京高を6度の全国制覇に導いた古沼貞雄氏のように、サッカー未経験者が監督として成功した例はある。しかし完全なクラブ育ちの監督が、部活の本家本元である高校サッカー選手権を制したのは初めてだった。 「くんづけ」にあらわれた変化と融合他にもクラブと高校の“ハイブリッド化”を感じたことはある。決勝を戦った東福岡、国学院久我山の選手に話を聞くと、どちらも先輩を自然に「くんづけ」で呼んでいた。そもそも試合や練習中は呼び捨てがサッカーの鉄則だが、クラブユースには試合や練習以外の場面でも先輩を「くんづけ」で呼ぶ文化があった。高校サッカーといえども中学時代はクラブチームでプレーしている選手が大半で、Jリーグの育