山崎豊子さん=2009年12月 「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」「大地の子」など、社会問題に鋭く切り込んだベストセラー小説で知られる作家の山崎豊子(やまさき・とよこ=本名杉本豊子〈すぎもと・とよこ〉)さんが29日、死去した。88歳だった。 大阪・船場生まれ。京都女子高等専門学校(現・京都女子大)を卒業後、毎日新聞社大阪本社に入社。当時、学芸部副部長だった井上靖に指導を受けた。在社中から小説を書き、1958年、吉本興業の女性創業者がモデルの「花のれん」で直木賞を受賞。退社後、「ぼんち」「女系家族」「花紋」など、大阪を舞台にした女性の生涯を描き人気作家になった。 転機になったのは、65年の「白い巨塔」。医学界の暗部や医療過誤問題にメスを入れ、映画やドラマにもなり、大ヒットした。以降、実際の事件や社会問題を題材にした大作を発表。政財官界の癒着を描いた「華麗なる一族」、シベリア帰還兵