教育新聞から教育ニュースをお届けします。文部科学省、中教審、教育委員会、小学校・中学校・高校・特別支援学校など、最新動向を速報します。
大学入試センター試験が1月19、20日の2日間にわたって行なわれた。現行入試は2019年度(2020年1月)の実施を最後に廃止され、代わって2020年度から「大学入学共通テスト」がスタートするが、とりわけ物議を醸しているのが「英語」だ。政府は「読む・聞く」だけだった現行入試に代えて民間資格・検定試験(民間試験)の活用を打ち出したが、東京大学が昨秋に事実上「不採用」を決めると、京都大学や名古屋大学などが追随した。 現場から懸念が噴出しているにもかかわらず、進められている民間試験導入方針のウラに何があるのか。取材を進めるとより深刻な「利益相反」の懸念に突き当たった。 ◆「100億円」市場の誕生 民間試験導入について「公平公正なテストにならない」と指摘するのは、東大文学部の阿部公彦教授だ。 「受験生の居住地によって希望の試験会場は遠くなり、地理格差ができてしまいます。検定料にも幅があるため裕福な
政令都市2年連続最下位の大阪市 先日、大阪市の吉村洋文市長が、学力テストに具体的な数値目標を設定して、その目標達成度合いに応じて、教員のボーナス支給額や学校に配分する予算額を増減させる考えを表明した。 この数値目標は学校ごとに、前年比で正答率をX%上げるというものになるとも表明されている。 たしかに大阪市の学力テストの成績は2年連続で政令都市の中で最下位であり、市長が抜本的な改革が必要だと焦るのも理解できる。 また、国際学力調査を用いた研究によると、教員の給与を何らかの方法で教育成果と連動させることが、学力の向上に結び付くことも示されている。 しかし、改革は常に良い結果をもたらすわけではなく、そのやり方によっては改悪になることは過去数十年の日本の経験からも明らかであろう。 先に結論を言えば、残念ながら、大阪市が乗り出そうとしている抜本的な改革は間違っている。 給与連動型の人事評価のような外
国立大学の再編は本当に進むのか――。3月22日、国立大学である名古屋大学と岐阜大学が、法人の運営統合に向けた検討をしていることが報道で明らかになった。 名古屋大学は「周辺の国立大学法人に、運営の統合について協議の場を開きたいとの提案を進めている」といい、名古屋大学が主導する形で、統合の可能性やメリット、デメリットなどを検討する場を設けていくという。 その中で岐阜大学が協議参加を検討していることが判明。今回の報道につながった。今後、具体的な話し合いに向けて進展していくものと見られるが、中部圏にある他大学も協議のテーブルにつく可能性は十分にある。 「指定国立大学」が再編推進の決め手に 名古屋大学がこうした提案を進める大きな要因は、3月20日に文部科学省から指定を受けた「指定国立大学」にある。 指定国立大学は、教育研究水準の向上を図り、世界最高水準の教育研究活動ができる国立大学法人が指定される制
山極寿一(やまぎわじゅいち) 1952年生まれ。霊長類研究の第一人者で、特にゴリラに詳しい。「ゴリラは語る」「『サル化』する人間社会」など著書多数。元日本霊長類学会会長。2014年に京都大学学長就任(任期6年)。 国立大学が「民間発想のマネジメント」により「自律した経営」をする「法人」となって、十余年。以来、国から支給される基礎的な運営資金が毎年削減される中、教育や研究に充てる資金を、国立同士、あるいは私立や公立と競い合うようになった。教育や研究はどの大学もが担う使命だ。だとすると、国立大学が「国立」であり続ける意味はどこにあるのか。国立大学協会会長、日本学術会議会長も務める京都大学の山極寿一・学長に聞いた。(聞き手・読売新聞専門委員 松本美奈、写真・守屋由子) 次回は五神真・東京大学学長 ウェブ上で「交論」しませんか。(サイト上匿名もできますが、名前、職業、年齢、連絡先は明記を) メール
神田眞人 金融庁参事官。東京大学法学部卒業、オックスフォード大学経済学大学院修了。旧大蔵省入省後、世界銀行審議役、主計局主計官(文部科学、司法警察、経済産業、環境、財務予算担当等を歴任)等を経て現職。主著に、「強い文教、強い科学技術に向けて」「超有識者達の洞察と示唆」(いずれも学校経理研究会)等。現在、OECDコーポレートガバナンス委員会副議長を兼任。51歳。 中央教育審議会の答申やさまざまな法改正などを追い風に、大学の教育、研究の現場が変わりつつある。かつては当たり前だった一方的な講義形式の授業や、外部から資金を獲得できない研究などは「問題」とされるようになった。だが、財務省主計局主計官として大学運営を見てきた金融庁の神田眞人参事官は、まだまだ足りないと言う。「今のままなら、日本の大学は生き残れない」とさえ......。その現状認識を聞いた。(聞き手・読売新聞専門委員 松本美奈) ウェブ
先進国で稀な研究論文数の減少・大学ランクの退潮と科学技術立国が危ぶまれる事態の中、間もなく18歳人口減少で大学淘汰が起きます。政府の失政による若手研究者のポスト不足に、研究職激減の大波が加わります。2018年以降の大学淘汰時代が見えやすいよう、文部科学統計要覧・学校基本調査など公開資料からグラフを作りました。平成に入った1989年から2024年まで35年間の18歳人口の推移と、2015年までの4年制大学進学率の実績です。 18歳人口は団塊ジュニア世代がピークを作った1992年に比べると半減する勢いで減っています。2024年以降さらに18歳人口減は加速しますが、2024年に限っても2015年から14万人も減ります。大学進学率は男女合計で51.5%と頭打ち状態になり、これから伸びる余地はほとんどありません。減少分14万人の半分、7万人が大学に進まなくなると仮定して、現状に比べて学年定員1000
9月24日付本連載記事『安倍政権、大学教育を破壊するトンデモ改革!教育の自由をはく奪し、金で頬を叩く』で、現在進められている国立大学改革を紹介した。安倍政権は、「今後10年間で、世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせる」という目標を設定し、国立の各大学が重点支援のための3つの枠組み「地域貢献」「特定分野」「世界水準」のいずれかを選択し、その枠組みのなかで改革の取り組み状況等について評価を行い、国立大学運営費交付金のメリハリある配分を行うことを打ち出した。 これは、3つの枠組みのいずれかで成果が挙がれば交付金が増えるという「金で頬を叩くことで、言うことを聞かせる政策」であり、国立大学教育の自由度を著しく損なう。結果的に86の国立大学のうち、全体の3分の2近い55大学が地域貢献を選択、特定分野を選択したのは15大学、世界水準を選択したのは16大学となった。 確かに世界水準を
国立大学全86校が加盟する「国立大学協会」(会長=里見進・東北大学長)は、AO・推薦入試などの合格者を2018年度までに、現在の2倍にあたる入学定員の30%に引き上げることを盛り込んだ改革プランをまとめた。 外国人留学生の受け入れも21年度までに倍増させる。財政面では安定的な大学運営のため、今後、授業料の値上げも検討するとした。 国立大の改革は、これまで国主導で進められてきたが、一部の大学では教授会の反発などで十分に進んでこなかった経緯がある。しかし、今回は18歳人口の減少や国の財政難を受け、国立大側が自らの役割や組織の抜本的な見直しを掲げており、改革が加速するきっかけになりそうだ。 プランでは、国際的な大学間競争が激化しており、各大学は自己変革に取り組む必要があると指摘。優れた資質、能力の学生を確保するため、来春の16年度入試では入学定員(計9万5760人)の15・6%にとどまるAO・推
先日、ある地方国立大の理事クラスの方からメールをいただきました。人文社会系の改組に関わるお仕事にもたずさわっていらっしゃるとのことでしたが、たいへん危機感をお持ちでした。その内容をご紹介します。 なお、数字などは変えていませんが、大学の特定を避けられるような処理をしてあります。文体も変えてあります。 公開については、もちろん許可をいただいています。シェアも歓迎します。 国立大の人文社会学系学部は、経済基盤の弱いところから順次、縮小廃止に向かうと思います。 たとえばうちの大学ですと、人件費は来年から1億3000万円の赤字が発生、それが今後毎年5000万円ずつ膨らんでいきます。単純に教員1名を1000万円とすると、第3期の6年間で、43名の教員を減らさないといけません。また内閣府が決めた国家公務員削減率は今年から年間2パーセントになってます。あわせると、人文社会科学系1学部分の教員削減になりま
ビジネスに役立たない分野はいらない? 文部科学省が国立大学に出した通知が大学関係者の間で話題だ。簡単に言うと、文学部や人文社会科学系など、ビジネスに役に立たないような分野の縮小や転換を求めた形。国立大文系を「社会的要請」に合致した学問の場とするような流れで、文系の大学関係者は疑問のようである。 まず大学生に関するデータを見よう。'14年の学生数は、国立44・7万人、公立12・9万人、私立197・6万人の計255・2万人。文系を人文科学、社会科学、教育の学部生とすれば、国立大文系比率37・1%、公立大文系比率44・2%、私立大文系比率59・3%で、全体では54・6%だ。 文系比率を10年前の'04年で見ると、国立、公立、私立、合計それぞれ39・8%、50・8%、65・6%、60・2%。20年前の'94年では、それぞれ43・4%、60・2%、67・7%、62・5%。 ここ20年間で見ると、文系
サービス終了のお知らせ SankeiBizは、2022年12月26日をもちましてサービスを終了させていただきました。長らくのご愛読、誠にありがとうございました。 産経デジタルがお送りする経済ニュースは「iza! 経済ニュース」でお楽しみください。 このページは5秒後に「iza!経済ニュース」(https://www.iza.ne.jp/economy/)に転送されます。 ページが切り替わらない場合は以下のボタンから「iza! 経済ニュース」へ移動をお願いします。 iza! 経済ニュースへ
大学とは、「稼ぐ力」を身につける場所 文部科学省の「第1回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」(2014年10月7日)でなされた提言が議論を呼んでいるという。 大学を「グローバルで通用する高度なプロフェッショナル人材」を輩出するG型(グローバル)と、「ローカルな労働集約型の産業で生産性向上に資するスキル保持者」を輩出するL型(ローカル)に分別して再編すべし。ごく一部のトップ校、学部以外はL型大学と位置づけて、職業訓練機能を強化せよ――。 これが提言の骨子。今の大学教育から生み出される人材と現実の経済社会が求める人材のミスマッチはよく指摘されていることだし、私もそれは強く感じる。 義務教育の目的が憲法で言うところの「最低レベルの生活ができる能力の付与」だとすれば、なぜ高校まで義務教育にしないのか、そもそも高校はどんな位置づけにあるのか不明である。大学教育の目的
(英エコノミスト誌 2014年5月3日号) ようやく日本企業は適切な外部の目にさらされることになりそうだ。 光学機器メーカーのオリンパスが2011~12年に日本で数十年ぶりとなる一大会計スキャンダルにまみれた時、多くの日本人大株主の沈黙は、この不祥事の最も憂慮すべき特徴の1つだった。 オリンパスの元社長から内部告発者に転じたマイケル・ウッドフォード氏が警鐘を鳴らした後、公に答えを要求する役割は外国の資産運用会社2社に委ねられた。 だが今後、見て見ぬふりをすることが難しくなろうとしている。日本の資産運用会社は今年、安倍晋三首相率いる政権が導入した新しいスチュワードシップコードを採用する。株主は企業をしっかり監視し、必要に応じて率直に発言することが強く求められるようになる。 オリンパスの不祥事が起きたもう1つの原因は、取締役がイエスマンばかりだったことだ。それについても政府は対策を講じる方針だ
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は21日、マフィア犯罪の犠牲者遺族ら約700人と面会した。今月13日に就任1年を迎えた法王は、マネーロンダリング(資金洗浄)への関与も取り沙汰されてきた教会の財務改革を本格化。ただ、改革を阻もうとするマフィアに逆に命を狙われる恐れも指摘されている。 集いでは、マフィアに殺害された842人の名が読み上げられた。法王は遺族に「私はあなた方と共にいます。つらい話を聞かせてくださって、ありがとう」と語りかけた。マフィアには「あなた方の金や力は血塗られている。地獄に落ちぬよう悔い改め、悪行をやめなさい」と非難した。 昨年3月に就任したフランシスコ法王は前例にとらわれない姿勢で改革に臨んでいる。バチカンの官僚組織に属してこなかった世界各地の「現場派」の枢機卿ら8人を諮問委員に任命し、改革案を作成中。最大の焦点がバチカンの財務部門の改革だ。
安倍政権が教育委員会制度の見直しに本格的に乗り出した。安倍晋三首相は28日の衆院本会議で「現行の制度を抜本的に改革する」と表明。政治からの中立性を保ってきた教委の権限を自治体の首長に移し、政治主導の教育行政に変えるのが狙いだ。政権は3月にも関連法改正案を国会提出する構えで、実現すれば戦後教育の大転換になる。 自民党は28日、教委制度のあり方を議論する小委員会(委員長=渡海紀三朗・元文部科学相)を開催。自治体の教育行政の事務方トップである教育長について、教委が教育委員から選出する従来の方式を変え、首長が任命できるよう関連法の改正方針を確認した。教育行政に首長の意向を反映しやすくする狙いだ。 現行制度では、首長は予算編成や教育委員任命などで教育行政に関わるものの、実務は教育長が担う。教育長は多くが公務員出身で、教育関係者や民間から選出される場合もある。教科書採択や教員人事、学校での教育内容など
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