論文を捏造する「論文工場」 生物医学の専門出版社スパンディドスのジョン・チェセブロは不正検知の担当者だ。彼は複数の研究論文に目を通し、ほぼ同一と思われる細胞の画像を精査する。彼は、科学研究を捏造して報酬を得る「論文工場」の手口にうんざりするほど慣れきっていた。 彼らの偽装手段は多様だ。単一の細胞培養の顕微鏡画像を関連性のない数多くの研究でコピーして使うようなあからさまなものもあれば、巧妙な操作を施したものもある。チェスブロは言う。 「画像を回転させて、違うものに見せかけようとしているものもあります。また、仮説通りのデータを作り出すために画像の一部をデジタル操作し、細胞などを付け加えたり削ったりしているようなものも見かけます」