我々のような保険会社が新商品開発のために市場調査を行うとする。 「保障は手厚い方がいいですか?」 このように質問をしたら、答えは「はい」となるに決まっている。 「保険料負担は低い方がいですか?」 このように問うてみても、同じく答えは「はい」となるに決まっている。 すなわち、給付と負担を分けて議論している限りは、「負担を伴わない給付増」を求めることは、極めて合理的な回答なのである。 我々保険会社はそのような問いかけは意味がないことが分かっているので、「ほどよい負担で、ほどよい給付を提供できる商品」というバランスを見つけようとする。あるいは、「高負担・高福祉」の商品と「低負担・低福祉」の商品の両者を販売し、選んでもらうようにする。 同様に、国レベルで行われている社会保障と税制の議論は、給付と負担が分離して議論されていることが、本質的な問題だと考える。 「現状の社会保障給付水準を維持したいですか