ロシアによるウクライナ侵攻に対し、欧米諸国や日本が経済制裁を科しているのに対し、プーチン大統領は「市場にパニックを生み出す作戦は間違いなく失敗した」と強気の態度を見せた。さらに、旧ソビエト諸国が参加する経済フォーラムでの演説でも「対応を通してわれわれはより強力になっている」と強調する。実際、ロシア経済はルーブル相場が持ち直すなど、大きな経済的打撃を見せていない。 経済制裁が効果を示さない要因として、石油や天然ガスといったエネルギー取引が継続されていることがよく挙げられるが、それだけではない。制裁が全く意味をなしていないのかというと、決してそうでもない。ロシアが講じている対策を見ながら、中長期的に及ぼすとみられる影響の実態を見ていきたい。 クリミア併合以降図っていた経済的〝自立〟 ロシアによる経済制裁への〝対策〟はすでに6年前から始まっていた。ロシア軍が2014年にウクライナのクリミア半島を