一切の前提条件なしに、年末までに平和条約を締結しよう――。ロシアのプーチン大統領が今月中旬、ウラジオストクでの東方経済フォーラムの全体会合で意表を突く提案を日本に投げかけた。その意図はなにか。ロシアの著名な国際政治学者フョードル・ルキヤノフ氏にモスクワで話を聞いた。 東方経済フォーラムでパネルディスカッションに出席する安倍晋三首相(左)、ロシアのプーチン大統領(中央)、中国の習近平国家主席(右)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) プーチン大統領はフォーラムの場でなぜ、あんな発言をしたのか。 フョードル・ルキヤノフ氏(国際政治学者):発言の場所は、ロシアにとって最も重要な東アジアのフォーラムだからだ。では大統領は何を言いたかったのか。(北方)領土問題をめぐる慎重でのらりくらりとした交渉に皆が疲れた、少なくともロシアが疲れた。このような交渉を続けても成果は見込めず、これ以上続ける意味がないと
「プーチン訪日で北方領土返還」という話は、一体どこに行ってしまったのか──。本日、安倍首相とプーチン露大統領が共同会見を開いたが、発表されたのは「『新たなアプローチ』に基づく(北方領土での)共同経済活動を行うための『特別な制度』について、交渉を開始することで合意した」というだけ。しかも、正式な共同声明すら出せず、「プレス向け声明」というよくわからないものを発表しただけだった。 つまり、あれだけ安倍首相は北方領土の返還に浮き足だっていたのに、結局、日本が3000億円にものぼる経済協力で貢ぐだけ。“共同経済活動は北方領土問題解決への重要な一歩”などと言うが、そんなわけがあるまい。実際、先述したプレス向け声明にも、「北方4島の帰属問題に関する記述」はなし。つまり、安倍首相はプーチンの手のひらで転がされていただけだったのだ。 4島返還から歯舞群島、色丹島の2島引き渡しという妥協までし、官邸が騒ぎ立
安倍総理大臣はNHKの「ニュースウオッチ9」で、北方領土での共同経済活動を行うための特別な制度について、ロシアや日本の法律とは異なる新たなルールを専門家が協議して検討していくことになるという認識を示しました。 そのうえで安倍総理大臣は、今回の会談で検討していくことで一致した、北方領土での共同経済活動を行うための特別な制度について、「ロシア法でもなく、日本法でもない、特別な制度をこれから専門家が協議を行っていくことになる」と述べ、ロシアや日本の法律とは異なる、新たなルールを専門家が協議して検討していくことになるという認識を示しました。 また安倍総理大臣は平和条約交渉について、「1年とか、2年とか簡単な問題ではないと思うが、その間にも私は相当、進めていきたいと思っている。平和条約を締結して四島の帰属の問題を解決しても、一緒に共生していくことを考えなければならない。そのことも含めて平和条約の交渉
自民幹事長「国民がっかり」=日ロ交渉に異例の不満 北方領土交渉が焦点となった15、16両日の日ロ首脳会談について、与党内では好意的な意見が出る一方、目に見える成果がなかったとして不満の声も上がった。自民党の 二階俊博 幹事長は党本部で記者団に「国民の大半はがっかりしていると心に刻んでおく必要がある」と述べた。与党幹部が外交交渉にあからさまな不満を示すのは異例だ。 二階氏は「日ロ首脳が胸襟を開いて会談したことは成功だった」としながらも、領土交渉に関しては「そうそう甘いものではないと思い知ったのは一つの参考になるのではないか」と指摘。一時は首脳会談の成果を掲げての衆院解散・総選挙の可能性も取り沙汰されたが、二階氏は「日ロ問題は解散のテーマにならない」と否定した。 自民党内からは「政府は期待値を上げ過ぎた。国民は肩すかしを食らった気持ちだろう」(中堅)との苦言も漏れた。(2016/12/16
やまだ・あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなどを務める。 山田厚史の「世界かわら版」 元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。 バックナンバー一覧 安倍首相はロシア南部のソチに赴き、プーチン大統領と会談、「新たな発想に基づくアプローチ」で
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