西村雄一さん(撮影/米倉昭仁) クロアチアに敗れ、惜しくもベスト8入りを逃したものの、日本の健闘がたたえられたサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会。そのハイライトの一つは、強豪国スペインとの戦いで逆転ゴールを決めた田中碧(あお)選手と、それをライン際ぎりぎりでアシストした三笘薫選手のプレーだろう。もし、あのときビデオによる判定、いわゆるVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がなければ「三笘の1ミリ」は生まれなかったに違いない。テクノロジーの進歩はどうサッカーを変えたのか。過去2回のW杯でレフェリー(主審)を務め、JリーグでVARも担当する西村雄一さんに聞いた。 【決定的瞬間】世界がどよめいた「三笘の1ミリ」 * * * 「人間の目の限界を超えた、あの『1ミリ』を判定できるレフェリーはいません。でも、過去の大会で、われわれにはそれが求められてきました。もし、あのときVAR