ホテルや旅館、食品製造など地場産業に行員を1年間派遣し、企業を見る目を養おうと試みている地銀がある。 複数の行員を地場産業に派遣し、現場で働くことによって行員の目利き力を向上させようという試みだ。担保・保証主義から脱し、成長企業を発掘できれば、地域経済の活性化をもたらすのはもちろんのこと、銀行の収益アップにもつながる。銀行に担保・保証主義に依存しない融資の実行を求める金融庁の方針とも合致した取り組みだ。 ただ、こうした取り組みの成果が出てくるには相応の時間が必要となる。日銀による「異次元の金融緩和」を背景とした現在の低金利は銀行の経営環境を急速に悪化させており、成果が出るのを待っているだけの余裕はない。 日銀は10月に公表した「金融システムリポート」で低金利以外にも銀行の収益が上がらない原因を分析している。一つは過剰競争だ。可住地面積(総土地面積から林野面積および湖沼面積を差し引いた面積)