以前から、2020年度の達成実現は無理という意見は根強かった。2017年度の見通しは18.4兆円(国+地方)の赤字。これを2020年度に8.2兆円の赤字まで減らしたとしても、まだ黒字化までの距離感は途方もなく大きかったからだ。 2019年10月に2%の消費税率引き上げで5.6兆円の税収増が見込めたとはいえ、それで黒字化は無理だ。安倍晋三首相は、そこから少なくとも2兆円を教育などの無償化に流用するという。消費増税分の使途変更というよりも、それ以前にPB赤字幅の縮小がうまく進められなかったという理解が正しいと思う。 <五輪前後に財政出動が繰り返される恐れ> 困ったことは、次なるPB黒字化の目標をどこに置くかが見えにくいことだ。2020年には東京五輪がある。五輪効果が見込めたとしても、そこで財政出動をしてしまうと、必ず五輪が終ってから景気に反動が表れる。五輪景気の反動が不況をもたらすリスクである