新型コロナウイルスの感染拡大が収束の兆しを見せ始める中で、「コロナ後」の社会のありようをめぐる議論が活発になってきている。 ここでは、私たちの研究グループが近年行ってきたAIを活用したシミュレーションとの関連も踏まえながら、また「情報から生命へ」という科学の基本コンセプトの変化を意識しながら、「コロナ後の社会」についての新たな展望を考えてみたい。 都市集中型から地方分散型への転換 多少手前味噌になることをお許しいただければ、今回の新型コロナ問題の発生を見て、私が少々驚いた点がある。 それは、新型コロナを通じて浮かび上がった課題が、私たちの研究グループがここ数年行ってきた、AIを活用した日本社会の未来に関するシミュレーションの内容と大きくつながる内容だったことである。 あたかもAIが今回の新型コロナ・パンデミックや、その後に展望される「アフター・コロナ」の社会を“予言”していたかのような関連