新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発令されると、各地の裁判所は刑事事件、DV事件、急を要する仮処分手続きなどを除き、機能を停止した。ほぼすべての民事裁判では、決まっていた裁判期日がキャンセルされた。宣言の解除後にようやく裁判期日が再度設定され始めたが、その動きは遅い。 コロナ禍の影響で破産を申し立てても裁判所が動かないため、破産開始決定が緊急事態宣言の終わりまで出ないという事態も発生した。そのおかげでコロナ禍にもかかわらず、破産件数が増えなかったというおかしな状況が発生した。 こうした裁判所のスピード感のない対応では、国民の権利を守ることはできない。裁判所には、遅れているIT化を加速させ、より迅速な対応を図ることが望まれる。 コロナ禍でなくても遅い民事裁判 読者の皆さんがテレビや映画でよく目にするのは、刑事裁判の様子ではないだろうか。だが実際には、裁判所で行われる裁判の件数