国際政治学者の三浦瑠麗氏(原田史郎撮影) 日本は有事というものを想定していない国である。このことは、戦後繰り返し指摘されてきたが、すべての国民がそれをまざまざと実感したのがコロナ禍であったろう。東日本大震災の時にも政府の危機管理能力が問われたが、国の命運を左右すると思われたのは初めの数日から数週間であり、被災もわが国全土に及ぶものではなかった。しかし、コロナ禍は発生から1年を経てなお、政府が医療体制の組み換えにもワクチン接種体制の整備にも対応できていない現状を露わにしている。 国際政治学者の三浦瑠麗氏=令和元年11月27日、東京・永田町(宮崎瑞穂撮影) 私権制限の必要の可能性を論じることに今まで消極的であった野党が積極姿勢に転じてもなお、この国は医療体制やワクチン確保に指導力を発揮できず、「手を付けやすいところ」に負担を強いる構図から脱却できていない。首長たちも、世論が求める果断な決断のイ