わたしはベルサリア・オヴェリス。ひょんなことから王女になってしまって、愛する弟と離れ離れになってしまった悲しい女。いいのよ、笑って頂戴。 わたしは王女だからいつも護衛の人がついているの。具体的に言うとミルディンがわたしの護衛になったのよ。別に大きな不満はないわ。イケメンだし、気がきくし。ただちょっと真面目すぎるのよね。わたしには自由がない。最近はそう感じるわ。 日々の生活に飽き飽きしていたわたしは城から抜け出す方法をいろいろ考えたわ。でもどの方法もうまくいきそうにない。ミルディンの他にもわたしの見張り役はいるの。プレザンスとかウォーレンとかね。だからわたしはもうちょっと強引にやってみることにしたの。 「ドミニオン!」 時間を止める魔法をわたしは使った。さすがにハボリムさんから奪ったペトロクラウドを使うのはためらったので。わたしはミルディンが用を足してトイレから出てきた一瞬を狙ったわ。ミルデ