千葉雅也、納富信留、山内志朗、伊藤博明著、斎藤哲也編『哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで』の本文を特別公開。ありそうでなかった学び直しの決定版!
千葉雅也、納富信留、山内志朗、伊藤博明著、斎藤哲也編『哲学史入門Ⅰ 古代ギリシアからルネサンスまで』の本文を特別公開。ありそうでなかった学び直しの決定版!
司馬遼太郎の時代-歴史と大衆教養主義 (中公新書 2720) 作者:福間 良明 中央公論新社 Amazon 「司馬さんの書かれるものは日本外史とでも呼ぶべき種類の史書ではあるまいか」とは、有吉佐和子の『坂の上の雲』評だ。このように、司馬遼太郎作品はたんなる歴史小説の枠をこえ、一種の教養本として読まれている。司馬作品は物語中にしばしば「余談」がさしはさまれ、そこでは司馬の政治や軍事、世論などへの見解が自在に語られる。こうした特徴は吉川英治や山岡荘八といった、それまでの歴史作家の作品にはないもので、読者の歴史への知的関心をかきたてるものだった。なぜ司馬の「歴史教養本」は時代に求められたのか。『司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義』によれば、司馬作品の人気を支えていたのは、昭和50年代に起きた「大衆歴史ブーム」だという。 昭和50年代に司馬作品を愛読していたのはおもに中年男性だが、かれらは教養主
www.nhk.jp 3か月でマスターする 世界史 4月号 (NHKシリーズ) 作者:岡本 隆司,井上 文則,守川 知子 NHK出版 Amazon 4月3日からEテレで『3か月でマスターする世界史』が始まる。テキストのサンプルを見てみると、第1回と2回のタイトルは「古代文明のはじまり カギは”遊牧”」「ローマもオリエント?」といった興味深いものになっており、番組を観る価値はありそうだ。テキストの「はじめに」にでは岡本隆司氏が「アジアから世界史をひも解くと、新しい世界史が見えてくる」と語っている。「西洋中心主義とは?」「キリスト教の発祥はヨーロッパ?」といった回もあるようで、全体としてアジアの視点から世界史をとらえ直すシリーズになりそうだ。 軍と兵士のローマ帝国 (岩波新書) 作者:井上 文則 岩波書店 Amazon この番組にはゲストとしてローマ史家の井上文則氏が登場するが、井上氏は東洋史
今回もid:kash06さん向けのネタを。 海老沢泰久が1996年から97年にかけてNEC VALUESTARのマニュアル(?)を書いた。 https://www.amazon.co.jp/dp/4872690516/ これは当時、静かに(知る人ぞ知るような恰好で)高く評価された。高く評価したのは、例えば(おなじみ海老沢贔屓の)丸谷才一である。画期的なものだった。例えばあくまでも比喩的ないい方だが、「パソコンにとって電源とは何か」「セットアップとは何をどうすることか」「何をどこから取り出してどう取り付けて」「それで何ができるようになって」「だから次にどうすればいいか」が、読み物として書いてある。取扱説明書とはあまりに画期的なものだったので、このスタイルのものは爾来(ちょいと小難しい熟語を使ってみた)、出ていない。 企画までのいきさつが例えばこのサイトに、記されている。 ■画期的だった操作マ
古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル (ちくま学芸文庫) 作者:マティザック,フィリップ 筑摩書房 Amazon 「帝国は諸君を必要としている!」という帯の文句に惹かれ手に取ってみると、かなり内容の充実した一冊だった。これを読めば、ローマ帝国軍の入隊手続きや軍団兵の装備、陣営での生活や都市の攻略法、さらには除隊後の生活まで知ることができる。栄えあるローマ帝国軍の兵士になりたい人は必読。逆にローマを敵視している人にとっては、ローマ軍の内情がよくわかる貴重な一冊になる。 ローマ帝国軍にはだれでも入隊できるわけではない。本書の一章には帝国軍の入隊資格について書かれている。ローマ市民権を持っていること、独身であること、身長が5フィート10インチ(約173センチ)以上あること、などの条件に加え、「男性器がそろっていること」というのもある。軍隊は男の世界だが、去勢者は入ることができない。視力がよいこと、
俺の連載「文化史ぜんぶ読む」の価値は何か。 それは読者が新たな視座を獲得する機会を提供することにある。 文化史本を読んで世界の見方を変えろ。 無事に第2回も掲載されたわけだが 週プレの連載2回目が無事No.39&40号に掲載された。取り上げた本は『歯痛の文化史』である。最近、親知らずを抜くために歯医者に何度も行ったので*1、歯科医療の昔と今の比較を自らの体験も交えながら書いた。 週プレNo.39&40 10/2号 [雑誌] 集英社Amazon 歯痛の文化史 古代エジプトからハリウッドまで 作者:ジェイムズ・ウィンブラント朝日新聞出版Amazon 連載告知は前回の本しゃぶりでがっつり書いた。 だが、後で一つ大事なことが抜けていたことに気がつく。それは連載テーマである『〇〇の文化史』(文化史本) をなぜ読むのか、だ。 前回も書いたように、この連載企画は俺が考えたものではなく、向こうから提案され
「ブラウン神父」シリーズで知られる作家G.K.チェスタトン。彼はまた数々の評伝を書きました。なかでも『聖トマス・アクィナス』は中世最大の人物の核心を見事に掬い上げ、専門家から高い評価を得た作品です。ここに「はしがき」を転載いたします。どうぞご一読くださいませ。 今よりももっと世に知られて然るべきひとりの偉大な歴史的人物の一般向けの概説書――それが偽らぬ本書の狙いである。もし本書が聖トマス・アクィナスに関してほとんど聞いたこともないような読者を導いて、彼についてのさらに優れた書物へと誘う働きをすることになれば、本書の目的は達せられるであろう。この必然の制約から生じる結果については、最初からご斟酌をお願いしておかねばなるまい。 第一に、この物語は、主として、聖トマスと同じ教派に属する人、つまりカトリック信徒ではなくて、孔子やマホメットに対して私が持っているのと同じような興味を彼に対してたぶん持
35歳女。十数年ぶりに夢中になれる小説に出会えて、誰かに言いたくて仕方なくてこれ書いてる。 みんな、本の世界に入り込む感覚ってわかる? 現実の自分が溶けてなくなって、物語の世界が広がって、ストーリーに合わせてドキドキしたり悲しくなったり怒りが沸いたりして、ページをめくる手が止まらなくて、でもだんだん本の左側の厚みが減っていくのがわかって(あ~もうちょっとで終わっちゃう、この世界が終わっちゃうよ~~~)とか頭の片隅で思いながらも読み終わったらふぅ・・・って一息つきながらぼーーっと物語の余韻に浸っちゃう感じ。 高校生くらいまではどんな本を読んでもこの感覚を体験できたんだけど、歳をとるにつれてだんだんこれができなくなってきたんだよね。 30過ぎてからはほんとダメで、いろんなところでおすすめされてる本を試してみるんだけど数ページ読むとすぐに仕事のこととか私生活の悩みとかに現実に引き戻されてしまう。
京極夏彦 新作書き下ろし『鵼の碑』(「百鬼夜行」シリーズ)が講談社から9月14日発売!単行本・講談社ノベルス同時発売 百鬼夜行シリーズ新作長編『鵼の碑』(ぬえのいしぶみ)が発売されます!!! このタイトルが発表されたのは17年前、『邪魅の雫』(2006年刊)の巻末予告として。 『姑獲鳥の夏』から30年読みつがれ愛されてきた「百鬼夜行」シリーズ。 「いつ出るのか? 早く読みたい!」そんな読者の声は絶えることなく届いていました。 みなさん、ついに発売されます。京極堂に、また会えます! デビュー30周年を記念して、YouTubeチャンネルで各作品のPVを毎週月曜日21時に配信中! https://www.youtube.com/@30thAnniversary-nd9xp 講談社文芸第三出版部公式Twitter:https://twitter.com/kodansha_novels 講談社文庫出
唐―東ユーラシアの大帝国 (中公新書) 作者:森部豊 中央公論新社 Amazon ソグド人といえば、シルクロードで東西交易に従事した民族というイメージが強い。だが『唐──東ユーラシアの大帝国』を読むと、唐の政治・軍事にも深くかかわっていることがわかる。この本は突厥やウイグル・契丹など周辺の民族もふくめ東ユーラシア全体の視野から唐一代の歴史を描く良書だが、今回はとくにソグド人と唐とのかかわりについてみていきたい。 本書の第一章では、隋唐革命成功の一因として、ソグド人の協力があったことを指摘している。唐の高祖・李淵は太原にて挙兵し、隋の首都大興城へと進軍したが、この進軍ルート上の介州にはソグド人のコロニーがあり、この地のソグド人が李淵の軍に従っている。さらに、李淵が大興城にはいると、原州(寧夏回族自治区固原市)のソグド人が駆けつけている。ソグド人は東ユーラシアにネットワークをはりめぐらし、隋末
古代ローマ ごくふつうの50人の歴史 ―無名の人々の暮らしの物語 作者:河島思朗 さくら舎 Amazon 古代ローマの生活史の本は何冊か出ているが、中でもこれは充実している。古代ローマ時代を生きた無名の人々が50人も紹介されているので、これらの人々の暮らしをつうじてローマの実像に迫ることができる。紹介されているのは居酒屋の女将や靴職人、奴隷や剣闘士などバラエティに富んでいるので、興味を引かれる人物の個所だけ読んでも楽しめるが、全体を読めば一冊で古代ローマの衣食住や日常生活が大まかにわかるつくりになっている。 ここでは古代ローマならではの仕事をしていた人々を何人か紹介したい。まずはクリーニング店を営んでいたルキウス・アウトロニウス・ステパヌス。ローマ人は長さが5メートルもあるトガを着ていたが、これを自宅で洗うのは大変だったので、ルキウスの仕事はローマには欠かせないものだった。彼が衣服を洗う洗
本と鍵の季節 (集英社文庫) 作者:米澤穂信 集英社 Amazon ここに二人の人間がいるとする。前者は性善説論者、後者は性悪説論者だ。あなたはどちらに探偵役をまかせたいだろうか。個人差はあるだろうが、多くの人が後者に探偵役を頼むのではないだろうか。現実でもミステリでも、犯人は必ず嘘をつく。性悪説論者のほうが、その嘘を見抜くき真相を暴くのにむいているだろう。人を疑わない性善説論者に探偵役が務まるのか、はなはだ心もとない。実際、多くのミステリではややひねくれた性格の人間が探偵役をやっている印象がある。だが人を信じることは、ほんとうに推理の邪魔になるのか。 『本と鍵の季節』において、探偵役を務めるのは図書委員の二人組、堀川次郎と松倉詩門だ。この二人の個性はそのまま性善説論者と性悪説論者に対応させられるほど単純ではないが、どちらかというと堀川は素直な性格で、松倉はややひねくれていて人を信じないと
【試し読み公開】 ご好評頂いている『完訳 華陽国志』、最初の「巴志」がまるっと読める約30ページ太っ腹の試し読みPDFをご用意致しました! 購入の検討にぜひお読み頂けましたら幸いです!!https://t.co/qD6tTWeoxi — 志学社 (@shigaku_sha) 2023年4月4日 『完訳 華陽国志』のうち30ページほどが志学社のサイトで試し読みできるようになっていた。華陽国志とは巴・蜀・漢中を扱う地誌で、中国版風土記みたいなもの。巴志の部分を読むだけでもこの本の雰囲気がよくわかるので、気になっている方はぜひ読んでみてほしい。 shigakusha.jp 巴志の中には他の史料では読むことのできない記述が多い。たとえば巴には白虎を狩る勇敢な人々がいて、秦末には劉邦につき従い各地で戦功をあげたという。虎射ちを生業とする彼らは劉邦から租税や徭役を免除されており、「白虎復夷」「板楯蛮」
このごろ孟子が気になっている。気になっているので本を借りたりした。同じ棚に、こんな本を見つけたので、とりあえず手にとってみた。 一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書) 作者:高橋源一郎 河出書房新社 Amazon 高橋源一郎の『一億三千万人のための『論語』教室』、これである。 高橋源一郎はおれがもっとも好きな小説家である。とはいえ、著書のすべてを追っかけているわけではない。『さようなら、ギャングたち』や『ジョン・レノン対火星人』といった超絶な名作で止まっているわけではないが、評論の本などはあまり追っていないところがある。 して、本作はなにか。これは『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』のような翻訳本であるといっていいかもしれない。いや、単なる翻訳だろうか。それ以外の、それ以上のものかもしれない。 正直にいいます。『論語』の翻訳を、細々と初めた頃、孔子先生がほんとうはなにをいいたいのか
「あれ?ブログってどうやって書くんだっけ?」 旧町名をさがす会、およそ1年ぶりの更新です。 約1年もの間、なぜブログの更新が止まっていたのか。私は何をしていたのか。 更新を忘れていたわけでも、ログインパスワードを忘れたわけでもありません。 山籠りもしていません。ネタ切れやストック切れでもないとは言い切れません。 外付けHDDが壊れて14万円を払ってデータ復旧したショックで絶筆したわけでもありません。 この1年、原稿を書いていました。 昨年2月から11月まで、来る日も来る日も原稿を書いていました。 旧町名や住居表示という文字を何万回打ち込んだかわかりませんが、そのような日々を送った結果、冒頭のとおりブログの書き方を忘れてしまいました。本を出すためですから多少の犠牲は仕方がありません。 そうです!本を出すんです、私。 なんと、3月13日に二見書房さんから旧町名の本を出すことになりました!! ↓
ソード・ワールド短編集 レプラコーンの涙 (富士見ファンタジア文庫) 作者:水野 良 KADOKAWA Amazon ファンタジー小説は作品ごとに世界観も設定も違うので、読みはじめるハードルが少し高い。でも慣れ親しんだ世界観ならすぐストーリーに入っていける。それが『ロードス島戦記』で長いことお世話になったソード・ワールドの世界観ならなおさらだ。この世界観をベースに水野良・山本弘・清松みゆき・下村家恵子らが織りなす作品群は、今読むとかえって新鮮に感じる。派手なスキルやチート魔法などがないせいだろうか。米田仁士の格調高い雰囲気のイラストもいい。こういうのが読めるからKindle Unlimitedはやめられない。 グループSNEの作品群に耽溺する少年時代を過ごしたのに、なぜかソード・ワールド短編集は未読だったので、まずレビュー数の多い『レプラコーンの涙』から読んでみた。一作目の水野良『一角獣の
www.4gamer.net イアン・リヴィングストンとスティーブ・ジャクソン、このゲームブックの両巨頭の名を懐かしく思い出す人は多いだろう。80年代後半、日本にファンタジーというジャンルが根付きつつあった時代、ゲームブックもこの世界への入り口として大きな役割を果たした。この時代に子供時代を過ごした私にとり、ゲームブックの存在は福音だった。宮崎英高氏と同様、親にファミコンを買ってもらえなかった子供が唯一自宅で遊べる「ゲーム」がファイティング・ファンタジーであり、ソーサリーシリーズだったのだ。ひとたび手に取れば、そこには暗く、薄汚く、猥雑な物語世界が待っている。おどろおどろしいタッチの挿絵に誘われ、ダイスを片手にページを繰れば、いつしか心はバルサスの要塞や城塞都市カーレ、マンパン砦の中をさまよい歩いていた。ゲーム機を部屋に置くことを許されない子供にとり、ゲームとは読んで味わうものだったのだ。
去年の夏に出たときに読もうと思いつつも読み逃していたのですが、これは読み逃したままにしないでおいて正解でした。 著者が2013年に出した『経済大陸アフリカ』(中公新書)は、アフリカの現実から既存の開発理論に再考を迫るめっぽう面白い本でしたが、今作も人口について基本的な理論を抑えつつ、それに当てはまらないアフリカの動きを分析していくことで、未来の世界が垣間見えるような面白い本です。 目次は以下の通り。 第1章 人口革命と人口転換 第2章 グローバル人口転換 第3章 アフリカの人口動向 第4章 人口と食糧 第5章 人口と経済 18世紀後半からイギリスで1%を上回る人口増加が持続的につづいたことが人口革命の始まりと言われています。その結果、イギリスの人口は1801年の約1600万人から1920年には約4682万人まで3倍近くになりました。 これがアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド
このテキストは岩崎夏海・稲田豊史両氏による『ゲームの歴史』の1、2、3の中で、ゲームの歴史的に見て問題があり、かつ僕が指摘できるところについて記述していくテキストだ。 該当の本は、ハッキング・箱庭・オープンワールド・疑似3D・2Dなどの通常のゲーム&コンピュータ用語に筆者の独自解釈が含まれていて、それを筆者の都合に応じて定義をいじりながら論を展開するために、極めて独特の内容になっている。 例えば3D描画で背景をテクスチャで埋めると3D+2Dの疑似3Dになると言われたら、普通のゲーム屋なら目を白黒させるだろう。ただ、それは筆者の主張なので「自分はそこは批判はしないが、筆者の見方には全く同意できない」とだけ書いておく。 なお、該当の本の引用部は読みやすさを考慮してスクリーンショットからonenoteのOCRで文字の書きだしをしたものを僕が修正したものになっている。なので校正ミスで本文と若干ずれ
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