行政手続きのデジタル化は岸田文雄内閣が菅義偉前政権から引き継いだ日本の最優先課題の一つだ。不動産の相続登記も法務省がホームページで「すべてインターネット上で対応可」とPRしているので、さっそく試してみた。しかし、なぜか結果は「却下」。理由を問うと、「看板に偽りあり」としかいいようのない回答。法令の矛盾も放置したまま国民に面倒な手続きを迫るという、デジタル化とは無縁の現状が浮上した。筆者が試した
新型コロナウイルスの感染拡大で日常が一変してきた――。 いまや世界中で、人と人との結びつきは、ほぼあらゆるシーンでデジタルによって形成される。通勤地獄を緩和して、仕事の効率を高めるテレワークも浸透しており、新型コロナが生んだ不可逆的な転換点として歴史に刻まれるだろう。 世界ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)を筆頭に、データを蓄積するプラットフォーマーのパワーが拡大。独占への警戒感からEU(欧州連合)や米政府とGAFAとの緊張が高まる一方で、Facebookがデジタル通貨「リブラ」の発行を打ち出すと、中国もデジタル人民元の実証実験に入り、基軸通貨ドルの覇権への挑戦も始まっている。新型コロナで世界のデジタル化がさらに加速する中、「デジタル後進国」である日本は、どうすれば世界で生き残れるのか―。そんな危機感がいま高まっている。 そこで今回は、新著『デジタルテ
1951年生まれ。一橋大学卒業。日本開発銀行などを経て1996年慶応義塾大学教授。2001年経済財政政策担当相、2005年総務相などを歴任。2016年より慶応義塾大学名誉教授、現職。世界経済フォーラム(ダボス会議)理事。(写真:村田和聡) 行政のデジタル化の課題をどう見ていますか。 2000年に慶応義塾大学の村井純教授と一緒に、インターネットに関する国家戦略を当時の森喜朗首相に提言しました。そのときの目標は、日本のインターネットインフラを世界最高水準に高めるというものでした。 結果的にインターネットインフラに関して、日本は世界のトップレベルになりました。問題は、その利活用がうまくいかなかったことです。それが今回の新型コロナウイルス感染症対策で、遠隔教育や遠隔診療が進まないなどとして顕在化しました。遠隔教育にしても遠隔診療にしても、インフラはあるのに規制が邪魔をして利活用が進んでいません。
いかん、どうしても失笑してしまう。何の話かと言うと「経団連と経済同友会、日本商工会議所の経済3団体のトップらが首相官邸で菅義偉首相と面会し、行政のデジタル化などを含め経済改革を押し進めるよう要請した」との報道に対してだ。感想を素直に言葉にすれば「どの口が言っとんねん!」である。 いやぁ、いくら「極言暴論」であっても、経済界の重鎮たちに向かってそんな言葉を投げつけるのは、いくら何でも失礼極まりない。そもそも菅首相への要請の内容は至ってまっとうだ。報道によれば、経団連は「政府が創設を検討しているデジタル庁を巡り、他省庁に指示できる強い権限を持たせるよう求めた」という。全くもってアグリーだ。行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには、省庁を横串にする強い権限が不可欠だからだ。 ちなみに経済3団体は、菅内閣が発足した際にそれぞれ新政権への提言をまとめている。ちょっとのぞいてみると
菅新政権が2020年9月16日に誕生しました。総裁選のときから「安倍政権の政策を継承する」と明確にうたっていた新首相のこと、大きな政策変更はないものと見られている一方、「スガノミクス」とでもいうべき独自色もあります。 現在、菅政権の目玉として語られているのは規制改革(行革)、コロナ対策(厚生労働)、デジタル庁(IT)の3つですが、規制改革への強い意欲は小泉政権下の新自由主義的な政策を予感させます。 思えば菅義偉首相は総務副大臣として小泉政権を支えていたのです。したがってスガノミクス=安倍政権の継承×新自由主義と位置づけることも可能でしょう。また秋田出身の菅首相は、総裁選を通じて地銀再編にも言及するなど、従来取り組んできた地方創生を明言。中小企業基本法を見直すなど、中小企業改革にも着手します。 デジタル庁に代表される菅政権のデジタル戦略。私自身、本年7月に発足した「デジタル市場における競争政
2020年9月14日の自民党総裁選に圧勝した菅義偉官房長官はデジタル化政策の中心にマイナンバーカード(個人番号カード)の普及を位置づけている。菅氏はカードの普及に向けて全国の自治体も巻き込んで号令をかけてきた。新政権でも引き続き普及に注力するとみられる。 振り返れば、菅氏は2019年2月にマイナンバーカードの普及やマイナンバーの活用に向けたタスクフォースを政府に肝煎りで発足させた。この「号令」により、それまで内閣官房や内閣府、総務省、厚生労働省といった府省庁が個別に進めてきたマイナンバーカードの普及やマイナンバーの活用について、政府一丸となって検討する体制に引き上げた。 マイナンバー制度に関わってきた政府関係者は「これまでクイーンやキングといった手札で戦ってきたのに、突然ジョーカーやエースがいっぺんにそろったようだった」と振り返る。当初は「官房長官の威光がどこまで各府省を動かせるのか」とい
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