グローバル化の時代において、世界中で「国」や「民族」の意識が薄れつつある。とりわけ中国人は、中国という国、または中国文化への帰属意識が大きく後退している。 中国のメディアの報道によると、映画俳優など著名人の8割、そして企業経営者など超富裕層の6割は中国国籍を放棄し、カナダやオーストラリアなど外国籍を保有していると言われている。 一方、奇妙な現象だが、これらの有名人はオリンピックや万博などのイベントで率先して愛国の歌を歌い、国民の愛国心を喚起しようとする。 彼らは本当に愛国者なのか、それともその場限りのビジネスなのか。筆者には、どうも後者の可能性の方が高いように思われる。 中国でも曖昧になりつつあるナショナルアイデンティティー サミュエル・ハンチントンの著作『分断されるアメリカ』(集英社、原題は「Who Are We?」)によれば、米国人のナショナルアイデンティティーの意識は、9.11事件を