荒木優太氏から恵贈いただいた『これからのエリック・ホッファーのために』についてアマゾンレビューを書こうかと思ったのだがこっちに書く。 これは、物故者である16人の「在野研究者」の列伝体をとりながら、おもに大学院へは行ったけれど就職がおぼつかないという人を読者対象にして、在野で生きていく心得などがちりばめられている。 16人は、三浦つとむ、谷川健一、相沢忠洋、野村隈畔、原田大六、高群逸枝、吉野裕子、大槻憲二、森銑三、平岩米吉、赤松啓介、小阪修平、三沢勝衛、小室直樹、南方熊楠、橋本梧郎である。 列伝としてはよく調べたなあと感心するのだが、どうも引っかかる点がいくつかある。一番は経済的な問題だが、高群や吉野は夫がいるし、熊楠は家の財産がある。小室はうっすいカッパブックスみたいな時にはスカスカの本を出していた。大槻もかなり通俗書を出して生計のたしにしていた。また37歳で心中した野村はあまり参考にな