本がすき。 > レビュー > 社会, 小林忍 > 晩年の昭和天皇は、なにに笑い、なにに怒ったのか。新発見資料『昭和天皇 最後の侍従日記』の読みどころは日常部分にあり。 『昭和天皇 最後の侍従日記』文藝春秋 小林忍+共同通信取材班/著 「何とかして『アメリカ』を叩きつけなければならない」。昭和天皇は、アジア太平洋戦争下の1943年に、こう漏らした。参謀本部作戦課長、同第一部長などを歴任した陸軍軍人、真田穣一郎の日記にそう記されている。 「日本としては結局アメリカと同調すべきで、ソ連との協力は六ヶ敷いと考へるが」。こちらは占領下の1947年の発言。外相、首相を歴任した芦田均の日記に記されている。 天皇の発言は、式典などで述べられる公式のものだけではない。こういう非公式な発言も、その言動を考えるうえで欠かせない。側近などの日記は、この点で比類なく重要な位置をしめている。 本書は、晩年の昭和天皇に