日本経済は「成長」を放棄できるのだろうか。「成長」を巡る論議が静かに始まっている。これまで通り成長を追い続けるのか、それともゼロ成長の中での充実を目指すのか、という議論だ。 言うまでもなく、日本の経営は成長を目指してきた。焼け野原から始まった戦後の日本経済は、「追いつき追い越せ」を暗黙のスローガンとして掲げ、アメリカをはじめとする西欧諸国の経済水準を追いかけてきた。 追いつき追い越すには成長こそが絶対条件であり、成長の2文字が今日の日本経済をつくりあげた原動力でもあった。その成長を見直すということは日本経済の現在の仕組みを見直すということであり、成長の放棄は現在の仕組みの放棄に他ならない。 それは、かなり難しいことである。日本の経営では、成長を見直したり放棄したりという考えは薄く、どうやって成長を守るかという発想の方が圧倒的に強い。まだまだ、追いつき追い越せの時代が続いている。 原発事故で