コロンとしたフォルムが愛らしい伝統工芸品・犬張り子。安産祈願の縁起物や、インテリア小物として部屋に飾る人もいるでしょう。 多くの犬張り子は1個数百円と手ごろな値段で入手できます。しかし、江戸張り子職人・林史恵さんの作品は1個数十万円するものがほとんど。それでも、オーダーが次々と入っています。林さんに職人になったきっかけや、高めの値段設定でも人気を得ている理由などを伺いました。 手軽な値段と材質に込められた商いの歴史 ――そもそも、張り子とはどのようなものでしょうか? 子孫繁栄や病気平癒などを願う縁起物です。平安時代ごろに中国から朝鮮半島を経て、起き上がりこぼし人形が日本に伝来し、日本で犬張り子など色々な張り子に発展したといわれています。 犬が多産の象徴であることから、私が制作している犬張り子にも子孫繁栄の願いが込められています。産地により区分が異なる場合もありますが、中でも関東圏で作られる