「去年は映画、随分と見たなあ~」。そんな思いを抱く人たちが全国各地にいることだろう。2016年の映画の興行収入(興収)が過去最高を記録した。「君の名は。」「シン・ゴジラ」という、才能あるクリエイターによる大ヒット作が映画界全体を押し上げた格好で、その人気は海外にも広がっている。映画記者歴23年、読売新聞調査研究本部主任研究員の福永聖二が、日本映画のリアルな勢いを分析する。 興収2355億円、入場者数は2億人に迫る 日本映画製作者連盟(映連)の集計で、昨年1年間の映画興行収入は2355億800万円と前年比8.5%の大幅増となり、2000年以降で最大を記録したことが分かった。同年に統計の取り方を現在の方式に改めていることから、押しも押されもせぬ「過去最高」の数字だ。 東宝、東映、松竹、KADOKAWAの大手映画製作会社4社で構成される映連によると、映画館への入場者数も前年比8.1%増の1億80