【ベルリン=宮下日出男】スペイン下院は27日、国外の人道犯罪などを同国内で裁けるとした国内法の規定を制限する改正案を、ラホイ政権の与党国民党の賛成多数で可決した。江沢民元国家主席への逮捕状発布に対して強く反発する中国への配慮から、自国の司法権を制限したとみられている。 改正案は国外の人道犯罪を国内裁判所も管轄できるとする「普遍的管轄権」の適用を制限する内容。改正後は、管轄規定の適用が、被害者が事由の発生時にスペイン国籍を持ち、告発者も被害者か検察に限られる。国民党は上院でも過半数の議席を確保しており、成立は確実な情勢だ。 江氏らには、チベット族への「ジェノサイド(民族・集団の計画的抹殺)」の疑いで、事件後に国籍取得したチベット人を含む人権団体が告発していた。スペイン・メディアは、改正案が成立すれば、これまでの捜査が事実上、無効となる可能性を指摘している。 ラホイ政権は中国との経済関係への影