年金積立金は縮小できるし、その方が好ましい、というのが筆者のより理想に近い意見だが、政治的、あるいは官僚制度的に、現在のような規模の積立金運用を続けることになった場合に、現在の運用体制がいいかどうか、というレベルの問題も考えておこう。 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産は、現在の運用部分(財投債込み)で120兆円、ピークでは200兆円を超える可能性が大きいが、この金額を、単一の組織で運用することに問題はないのか。これは、実は、なかなかの難問だ。 先ず、全体が正しく最適に管理されるなら、資金はまとめて運用管理するほうが効率がいいのは確かだ。また、分割して運用したとしても、年金積立金の運用全体の「合計」を管理する必要はあり、分割によって、運用の困難の総計は全く減らない。 一方、巨大な資金を一組織で運用する場合、判断のミスが大きな影響を及ぼしかねないという現実的な心配はあ