2018年の平均収入高 前年比約8%の増加 ピーク時の8割超まで上昇 ~ 収益力に課題、「赤字」割合は過去10年間で最大 ~ はじめに 2018年のアニメ業界は、大きな岐路に立たされた1年だったと言える。米動画配信大手のNetflixは、TV放送を介さないオリジナルアニメ作品の制作・配信市場へ本格的に参入。大手企業各社では、共同出資による3DCGアニメ制作企業などを相次いで設立するなど、従来のアニメ制作のあり方から一線を画したモデルケースが数多く生まれた。 テレビアニメに目を向けると、山梨県南部町に住む女子高校生のアウトドア体験や日常生活をゆるやかなタッチで描いた『ゆるキャン△』が人気を博したほか、『ポプテピピック』などインターネット上で話題となった作品も放映。劇場版では、2019年公開の『天気の子』が興行収入100億円を突破、第92回米アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表アカデミー賞
帝国データバンクは9月25日、アニメ制作業界動向調査の結果を発表した。調査は信用調査報告ファイルや外部情報をもとにアニメ制作企業を抽出し、2019年9月時点の企業データベース「COSMOS2」に収録されている256社の集計・分析を行った。 2018年における売上高合計は2131億7300万円。2011年以降8年連続で前年を上回り、過去最高を更新した。2018年の1社当たり平均収入高は8億4300万円で、前年から8.1%増加。ピークとなった2007年(9 億9200 万円)の8割超の水準まで上昇した。 同社は、「業界全体でアニメーターなどの人材不足や外注費の高騰が続いたものの、制作量を相応に確保できたことから大手制作企業を中心に業績回復が続き、全体の底上げにつながった」と分析している。 番組販売や配信に注力している企業、ネットでの映像配信事業が好調な企業は増収傾向 制作態様別に平均売上高をみ
【スタジオ4℃(1)】映画『海獣の子供』『鉄コン筋クリート』のアニメ制作会社「スタジオ4℃」で残業代未払い・労働環境改善を巡って団体交渉 アニメ制作会社で残業代未払い・労働条件明示義務違反 労基署も動いてくれない!?映画『海獣の子供』(2019年)、『鉄コン筋クリート』(2007年)などで知られる人気アニメ制作会社「スタジオ4℃」(STUDIO 4℃、正式な社名は「スタジオよんどしい」)に勤務する制作進行の男性Aさんが、ブラック企業ユニオンに加入し、同社と団体交渉を開始しましたので、ご報告します。 同社では、月100時間超えの残業や、人によっては月約200時間の残業もありました。その一方で、Aさんは自分たちに残業代が払われていないことを疑問に思っていました。 また、Aさんら社員には、自分の賃金や就業時間が定められた労働条件通知書さえ渡されていませんでした。自分の基本給や就業時間がわからなけ
「総労働時間が月250時間を超えないように」 そのマッドハウスにおいて、労働時間を記録するタイムカードの過少申告が常態化していたことが文春オンラインの取材でわかった。 現在、ブラック企業ユニオンに加盟し、マッドハウスと団体交渉を行っている現役社員・Aさんが語る。 「昨今の『働き方改革』に対応するため、マッドハウスではウェブを用いた勤怠管理システムを導入しました。毎月頭に前月のタイムカードを社員が申請して、上司である担当プロデューサー、さらに上のチーフプロデューサーの順に承認される仕組みです。ただし、このシステムの導入にあたっては、総労働時間が月250時間を超えないように日々の業務をこなしてくださいと指示がありました。さらには、休憩時間と待機時間をこまめに入力するように、とも。 ただし、実際には制作状況の悪化にともない、月の総労働時間が250時間以上になることも多々ありました」 「待機時間な
ブラック企業ユニオンは5月17日、厚生労働記者クラブで会見を開き、アニメ制作会社マッドハウスが労基署から是正勧告を受けたことを明かしました。労基への申告者はマッドハウスに勤めていたAさん。 Aさん(画像左)とブラック企業ユニオン代表の坂倉昇平さん(画像右) 是正勧告は新宿労基署が4月17日に行ったもの。違反点は大きく2つあり、労働基準法32条(違法な時間外労働)の違反と、労働基準法37条1項(時間外割増賃金)そして4項(深夜割増賃金)の違反が認められました。 労基は月100時間の時間外労働があったと認定。一方でユニオン側はタイムカードを元に最大220時間の時間外労働があったと認識しており、マッドハウス側と交渉を継続中です。 また、マッドハウスは固定残業代として時間外賃金50時間分と深夜割増賃金50時間分を支払っていましたが、これらは時間外労働・深夜労働が50時間を超えても追加の割増賃金が一
アニメ制作会社「マッドハウス」で制作進行として働くAさん。多い月には1カ月間の総労働時間が393時間に及び、帰宅途中に倒れ、救急車で病院に運び込まれることもあったという。 現在、Aさんは、会社側に対して長時間労働の是正と未払い残業代の請求、パワハラの謝罪などを求めて団体交渉を申し立てている。その思いの丈を聞いた。 〈アニメ制作会社「マッドハウス」社員は月393時間働き、帰宅途中に倒れた〉と併せてお読みください。 『宇宙戦艦ヤマト』でアニメーターを志して ―― アニメ制作会社に入った経緯を教えてください。 Aさん 一番のきっかけは、子どものころに『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)を見たことでしょうか。家にレーザーディスクがありまして、幼稚園の頃から見ていました。基本SFアニメが好きなんです。 もともと絵を描くのが得意だったこともあり、それで中学生ぐらいからアニメーターを志すようになりました。
〈「サマーウォーズ」「時をかける少女」などで知られる日本テレビ子会社のアニメ制作会社「マッドハウス」に在籍中の制作進行Aさんが、未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め、ブラック企業ユニオンに加入。本日、団体交渉を申し入れました!〉 「サマーウォーズ」「時をかける少女」などで知られる日本テレビ子会社のアニメ制作会社「マッドハウス」に在籍中の制作進行Aさんが、未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め、ブラック企業ユニオンに加入。本日、団体交渉を申し入れました! pic.twitter.com/YhtI62W2J7 — 坂倉昇平@ブラック企業ユニオン・総合サポートユニオン (@magazine_posse) 2019年4月5日 4月5日、ブラック企業ユニオンの坂倉昇平氏がこうツイートすると、またたく間に1万件以上のリツイートが
〈「サマーウォーズ」「時をかける少女」などで知られる日本テレビ子会社のアニメ制作会社「マッドハウス」に在籍中の制作進行Aさんが、未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め、ブラック企業ユニオンに加入。本日、団体交渉を申し入れました!〉 【写真】インタビューに応じる「マッドハウス」社員のAさん 4月5日、ブラック企業ユニオンの坂倉昇平氏がこうツイートすると、またたく間に1万件以上のリツイートが集まった。寄せられた反応は、「どんどん業界の悪いところを改善していきましょう!」「収入面で胸をはれる業界になってほしい」とAさんを応援する声が大半を占めていた。 「マッドハウス」は、1972年に設立されたアニメ制作会社で、社員数は約70人。現在は日本テレビが株式の95%を保有する。今期のTVアニメでは「ダイヤのA act II」、「消滅都市」などを制作している。 Aさんは
井上信行 @shriekydrake 若おかみは小学生の、主人公が旅館の雑巾がけをする場面はやっぱり異様。それが異様に見えないってことも含めて異様。それでも作品としては優れている。児童労働問題があるからって作品の良さが否定されるわけじゃない。そーゆー問題を、外から指摘されるまで気が付きませんでしたなんて話はない。 2018-09-22 19:57:53 井上信行 @shriekydrake そーゆーのをぜんぶポリコレってゆー外部の問題で片付ける程に作家さんはものを知らないわけじゃないでしょう。先んじて答えを出せるひとがいてもいいんですよ。ほんとうは。 2018-09-22 20:00:49
フランスの国営放送が初めて日本のアニメを放送したのは1978年、雨の多い7月のこと。屋内にこもりがちになった子どもたちは、はじめて触れる日本のアニメ「ゴルドラック」(原題は「UFOロボ グレンダイザー」)に夢中となり、視聴率100%も記録したモンスター番組となった。以降、同国では日本のアニメが次々と放送され、欧州でもアニメや漫画愛好家が多い国となったことはよく知られている。 日本のソフトパワーを担うものとして、アニメを思い浮かべる人は多いはず。しかし、アニメーターの仕事は労働環境の悪さがしばしば話題となる。2015年に日本アニメーター・演出協会「JAniCA」が発表した「アニメーション制作者 実態調査報告書 2015」では、年間収入の低さなどが世間に驚きを与えた(関連記事)。 吉田クリストフさんは、フランスと日本の両国で活躍するクリエイターだ。パリ第5大学医学部を卒業後、クリエーションの道
先日寄稿した拙論「なぜ若者は遣い潰されるのか――日本のアニメはブラック業界」には予想を超える反響があって驚いた。何より驚いたのは、当のアニメ業界内部の方々からの反応が大きいことだった。それも怒りの反応が圧倒的だ。 だがそれも考えてみれば予想してしかるべきだった。まずアニメにはジャーナリズムが働いていない。アニメ情報誌はたくさんあっても、業界の歪みを糾弾することはけっしてない。アイドル雑誌と同じで、アイドルならぬ人気キャラクターの版権イラストを業界側から提供してもらわなければあっという間に休刊に追い込まれる。 そのうえ大手マスコミもこの手の情報誌あがりのライターの言説を取り上げる傾向が近年あるため、アニメの監督や有名スタッフたちは「クリエイター」としてひたすら持ち上げられる。 アニメ情報誌の老舗『アニメージュ』の表紙。アイドル雑誌の紙面作りを踏襲しているのがわかる。 そこに「労働者」という視
先月(2015年4月)の末にようやく公表された「アニメーション制作者 実態調査報告書 2015」が大きな反響を呼んでいる。 まずNHKニュースで「アニメ若手制作者 平均年収は110万円余」と報じられるや、ネット上で話題になり、その反響の大きさを受けて調査を請け負った日本アニメーター・演出家協会(通称ジャニカ)はこの報告書の公開を早める判断をして、同月29日の日付が変わるのとほぼ同時に公式サイトにアップされた。 日本国内でのアニメ労働人口は1万人前後といわれている。文化庁の企画で今から6年前にも同種の調査がなされ、基礎データのいくつかはネット上で公表されてはいたのだが、今回は報告書そのものの無料公開に踏み切ったこともあって、ジャニカ側も想定していなかったほどの反響が今も続いているという。 なにしろそこに綴られている労働実態のデータは衝撃的だ。NHKニュースでの取り上げられ方をみれば、アニメが
日本アニメーター・演出協会が実施した「アニメーション制作者実態調査報告書2015」が、4月29日に公開された。2013年の年間収入は平均332.83万円、最頻値は400万円だった。 この数字は、NHKニュースが28日朝に「アニメ若手制作者 平均年収は110万円余」と報じ、ネットで大きな話題になったものとは乖離がある。どちらが本当なのか。 ■職種別集計から「動画」だけをピックアップ NHKのニュースがネットに公開された途端、各ネットメディアが「過酷な労働環境」「超ブラック」「アニメ業界が抱える闇」などと取り上げ、読者からも「月9万なんてヒドイ」と批判の声があがった。 関係者によると、NHK大阪放送局が若手アニメーターの労働環境の番組取材をする過程で、公表前の「実態調査報告書」を早期入手。28日に大阪で「アニメ制作者 厳しい労働環境」という番組を放送したが、同日に全国配信する際に見出しの変更が
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