企画スタートの時点では宮崎監督はプロデュースにまわり、監督は若手の演出家に託すという予定だった。 企画の初期に声がかかったのは当時、東映動画(東映アニメーション)に所属していた佐藤順一。しかし、佐藤は諸事情で企画が具体的に動き出す前に離れることになる。当時は、主人公のキキが下宿するパン屋・グーチョキパン店のおかみさん、おソノさんの出産をクライマックスにもってくるというふうに考えていたと、WEBアニメスタイルのインタビュー「佐藤順一の昔から今まで」で答えている。 ©1989 角野栄子・Studio Ghibli・N その次に監督として白羽の矢が立ったのは片渕須直。片渕は学生時代に宮崎が監督した『名探偵ホームズ』の脚本を手掛け、そこからアニメ業界で本格的に仕事を始めるようになったという経歴の持ち主だ。 依頼を受けた片渕は、最終的にキキが街に受け入れられるようなエピソードがいると考え、難破した船