3D設計の普及はどこまで進んだのか 前回まで、自動車や電機・電子機器業界の国際競争力と、ものづくりプロセス改革強化の方向性について考察してきた。今回は、ものづくりプロセス改革のテーマとして、多くの企業が取り組んでいる3D設計改革にフォーカスし、その功罪(効果と課題)について整理し、提言したい。 まず、日本・中国・韓国における3D-CADの普及状況の現状について確認しよう。ある学術論文に、3D-CADの普及状況を表す調査結果が示されている(図1)。これを見ると、日本の製造業では1990年代以降に3D-CADが急速に普及し、2004年時点ですでに7割以上の企業で3D-CADが導入されていたことが分かる(ちなみに調査対象は、東証一部上場企業および主要公開企業とされている)。また、中国と韓国における普及率を見ると、2000年前後では日本に対し5年ほど遅れていたが、いまや急速に追いつきつつある。