プリツカー賞をご存じだろうか。ホテルチェーン、ハイアットのオーナーの財団が主催する賞で、建築界のノーベル賞と呼ばれている。このプリツカー賞で近年、日本の建築家が大きな存在感を示している。 2010年以降に同賞を受賞した日本の建築家は、坂茂氏(14年)、伊東豊雄氏(13年)、妹島和世氏、西沢立衛氏の合計4人に及ぶ(妹島氏と西沢氏はユニットとして10年に受賞)。 1990年前後には、丹下健三氏(87年)、槇文彦氏(93年)、安藤忠雄氏(95年)の3氏も受賞しており、世界的に見ても、日本の建築家の存在感は際立っている。近年の受賞者数の多さから考えると、日本の建築界は磐石に見える。しかし、建築技術の開発という点では日本の優位性が揺るぎつつある。海外では、新素材やバイオ、機械、IT(情報技術)といった多様な分野の先進技術を貪欲に建築の領域に取り込み、新しい価値を次々と生み出しているからだ。 木造でも