書き手:松尾匡【まつお・ただす】 理論経済学。64年生。『自由のジレンマを解くーーグローバル時代に守るべき価値とは何か』共著に『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学』 講談社のこの本(ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』)の担当者さんから解説の執筆を頼まれたのですが、読者のみなさんもよくご承知のとおり、著者のブレイディさんは、若い頃パンクミュージックに入れ込んで渡英した人です。反緊縮ライターとか保育士とか以上に音楽マニア歴がずっと長いのです。おまけに邦洋問わず文学にも映画にも造詣が深いときています。だからこの人の他の本と同様、この本でも終始そうした素養が全開になった文章が溢れているのですが、私と言えば、これらの方面の知識は全くゼロに等しいので困ってしまいました。「あなたの一部が私のすべて」(……無理して歌詞の引用をしたりするとこういう恥ずかしいことになります)