傷ついた細胞を抹殺する殺し屋 リンチ氏のグループは、アフリカゾウ(Loxodonta africana)と小型哺乳類を対象に、他の遺伝子の違いについても調査を行った。特に注目したのは、複製が多い遺伝子だ。その結果、浮かび上がってきたのが、生殖能力を高める働きのある「LIF遺伝子」の1つ、LIF6だった。(参考記事:「ヒトの精子のしっぽに謎のらせん構造、初の発見」) 「LIF遺伝子と聞いて少しばかり驚きました」とボディ氏は言う。生殖能力とガン予防はまったく別のことのように思える。しかし、リンチ氏はLIF6には別の機能、つまり傷ついた細胞を殺す役割があるのではないかと考えた。(参考記事:「ヒトの精子生産のメカニズム解明」) 小さなウサギから巨大なクジラまで、ほとんどの哺乳類にはLIF遺伝子が1組しかない。しかし、ゾウやその親戚、マナティー、ハイラックスなどには、たくさんのLIF遺伝子がある。リ