大人なのに痛みに弱く、注射が苦手というあなた。もしかしたらネアンデルタール人の遺伝子を継承しているかもしれない。 ネアンデルタール人は、ホモサピエンスである現代人よりも痛みの閾値が低かったようだ。つまり、痛みを感じやすかったということだ。 ヨーロッパで行われた共同研究によると、すでに絶滅してしまったこの親戚の遺伝子が変異したため、痛みに対してより敏感になってしまったことがわかった。この遺伝子は、一部の現代人に引き継がれており、通常より痛みに敏感な可能性があるという。
中国の黄土高原の遺跡から、アフリカ以外では最古となる石器が発見された。(PHOTOGRAPH BY ZHAOYU ZHU) 7月11日付けの科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、ヒト族(ホミニン)は、これまで考えられていたよりはるかに早い時期にアフリカを出ていたという。初期の人類史の重要な1ページを書き換える大発見だ。 中国陝西省上陳(シャンチェン)村の遺跡で発見された100個ほどの石器が、初期のヒト族がアフリカ大陸を出たとされる時期を25万年以上も早めることになるかもしれない。 石器を製作したヒト族は、210万年前~130万年前の80万年間、断続的にこの地域に住み、アフリカ以外では先例のない道具を残した。ジョージアのドマニシ遺跡で発見されたホモ・エレクトスの最古の化石は180万年前のものだが、上陳遺跡から出土した最古の道具は、それよりさらに約30万年も古い。(参考記事:「石器時代
およそ7000年前の新石器時代、人間の遺伝子の多様性に奇妙なことが起こった。 それから2000年以上、アフリカ、ヨーロッパ、アジアで、Y染色体遺伝子の多様性が減少し、子孫を残せる男性が女性17人に対してたったひとりという状態になったという。 いったいなぜこのようなことが起きたのだろう?
サウジアラビア北東部のアル・ウスタ遺跡で発見された、ホモ・サピエンスの指の骨の化石。(PHOTOGRAPH BY IAN CARTWRIGHT) 8万5000年以上前のアラビア半島は、現在のように砂がどこまでも広がる土地ではなかった。 そこは豊かな草原地帯で、雨期が来るたびに緑が芽吹き、数多くの淡水湖が点在していた。アラビア半島の砂の中からはこれまでに、カバをはじめ、アフリカにすむ水生および半水生哺乳類の存在を示す証拠が見つかっている。このほか石器が見つかっており、人類がアラビア半島にいたらしいことはわかっていたが、人類の化石そのものが出土したことはなかった。 ところが先日、その直接証拠を見つけたとする論文が、学術誌『Nature Ecology and Evolution』に掲載された。2016年にサウジアラビアのアル・ウスタと呼ばれる古代の湖で見つかった1本の人類の指の骨が、8万800
スペインの洞窟の壁に、赤い縦線と横線からなるはしごのような絵が描かれているのが見つかった。6万4000年以上前のものと推定され、作者はネアンデルタール人と考えられる。(PHOTOGRAPH BY P. SAURA) ピカソの祖国スペインには、はるか昔から革新的な芸術家がいて、貝殻のビーズを作り、洞窟壁画を描いていたようだ。驚くべきは、彼らがホモ・サピエンスではなく、ネアンデルタール人だったらしいことだ。 2月22日に学術誌『サイエンス』と『サイエンス・アドバンシズ』に発表された2つの論文によると、スペインの3カ所の洞窟で見つかった10点以上の洞窟壁画は6万5000年以上前のもの、またスペイン南東部の洞窟クエバ・デ・ロス・アビオネスで見つかった貝殻ビーズと顔料は11万5000年以上前のものであるという。(参考記事:「最古の洞窟壁画、考古学者に聞く」) これらはともに、現生人類であるホモ・サピ
ドイツの遺跡で最近発見されたこの歯が、ヨーロッパの古代霊長類の左上顎犬歯だとする論文が発表された(この写真のアングルでは、犬歯の先端がこちらに向かって突き出している状態)。(PHOTOGRAPH COURTESY LUTZ, H., ENGEL, T., LISCHEWSKY, B. & BERG, A. VON) ドイツで保存状態の良い歯が2つ発見され、現在のヨーロッパ北部で暮らしていた人類の遠い祖先について、貴重なヒントを提供してくれている。「人類の歴史を書き換える発見かも」といった報道も多いが、果たしてこれは本当だろうか? ひと言で言えば、その答えはノーだ。 黄褐色をした2つの歯の化石――ひとつは犬歯、もうひとつは上顎臼歯――は、1000~900万年前の霊長類のもののようだ。(参考記事:「ヒトはなぜ人間に進化した? 12の仮説とその変遷」) 2016年9月にこの歯が発掘されたドイツ、
DNAを単にデータ保存装置と考えるなら、それが保存するデータは、生物情報です。ヒトでいえば30億の文字があり、2万個の遺伝子をもっています。古遺伝学とは、はるか昔に死んだ生物のDNAを研究する学問です。この技術が開発されたのはここ10年ほどで、本格的な研究はまだ5年ほどという新しい分野です。 興味深いことに、DNAはデジタルディスクやテープなどよりもはるかに安定しています。条件さえ整えば、DNAはヒトや有機体の骨の中に数十万年も留まることが出来ます。それを取り出せるようになって、数十万年前に死んだ生物のゲノムを研究することも可能になりました。(参考記事:「ゲノム編集でヒト受精卵を修復、米初、将来性は?」) 最初の転機は、2009年に訪れました。ネアンデルタール人の骨からDNAを抽出することに成功したのです。こうして私たちとは別の人類の全ゲノム配列が決定され、古生物学者の長年の謎が解明されま
ネアンデルタール人は、どんな人たちだったのだろう?ホモ・サピエンスとネアンデルタール人に共通のDNAがあるというのは本当なのだろうか?ネアンデルタール人をめぐる事実や、彼らの特徴や使った道具、人類進化の物語における位置づけについて解説する。(解説は英語です) シベリアの化石よりも現代人に近い 今回の研究に用いられたDNAは、化石骨が発見された洞窟にちなんで「ヴィンディア33.19」と呼ばれるネアンデルタール人女性のものだ。 ほかにも5人以上のネアンデルタール人についてゲノム断片の塩基配列が決定されているが、ヴィンディア33.19の化石骨には、ゲノム全体を詳細に分析できるだけのDNAが保存されていた。 プリューファー氏らは、ヴィンディア33.19が両親から受け継いだ2セットの遺伝子を区別することができた。過去にここまで詳細な分析ができたサンプルは1つしかなく、シベリアで発見された、いわゆる「
スペインのエル・シドロン洞窟で発見されたネアンデルタール人の子どもの骨格は、旧人類の幼年期の成長ペースを知るための手がかりとなる。(PHOTOGRAPH BY PALEOANTHROPOLOGY GROUP MNCN-CSIC) 約4万9000年前、現在のスペインにあたる地域で、ネアンデルタール人の少年が8歳の誕生日の数カ月前に死亡した。この骨格を詳細に調べた科学者たちは、ネアンデルタール人の子どもの成長ペースは現生人類(ホモ・サピエンス)の子どもと同じようにゆっくりしていたと主張する。 科学誌『サイエンス』に発表されたこの研究は、脳を大きくするために長い時間をかけてゆっくりと成長するのはホモ・サピエンスだけではないとする学説の裏付けとなる。 研究チームを率いたスペイン国立自然科学博物館の古人類学部門長アントニオ・ロサス氏は、「こんなふうに時間をかけて成長するのは私たちホモ・サピエンスだけ
5,000年前の中国では身長約180センチ越えの集団が存在していた2017.07.17 20:0314,091 たもり その遺伝子少しわけてほしい…。 中国の山東省で5,000年前のものとみられる、長身の集団の遺骨が発掘されました。彼らは新石器時代に生きていて、とても背が高いという特徴がありました。 新華社通信の記事によると、済南市章丘区で行われた遺跡発掘で、104の家屋、205基の墓そして20の生贄用の穴が発見されました。陶器やさまざまなヒスイの品物も発掘されたとのこと。後期新石器時代のころの黄河流域で栄えていたのは、紀元前3,000年から1,900年にかけてその流域で繁栄した龍山文化(またの名は黒陶文化)でした。この遺跡発掘は、山東大学の主導の元、昨年から行われてきたようです。 この地で発掘された人骨を分析したところ、発見された集団の多くが身長約180センチ以上と、著しく背が高かったと
はるか昔、現在のモロッコにあたるサバンナ地帯で、太古の人類が集団で焚き火を囲んでいた。焚き火のまわりには、彼らが使っていた石器が散乱していた。このほど、火に熱せられた石器を調べることで、彼らが生きた時代が今から30万年以上も前だったことが明らかになった。 科学誌『ネイチャー』6月8日号に発表されたこの発見は、人類の化石記録にある重大な空白を埋めるものだ。モロッコのジェベル・イルード遺跡から出土した今回の化石は、エチオピアの約19万5000年前の遺跡から出土した最古のホモ・サピエンスの化石証拠よりずっと古いにもかかわらず、現生人類と驚くほどよく似た点が多数ある。(参考記事:「ヒトはなぜ人間に進化した? 12の仮説とその変遷」) 発掘現場に残る鉱床。かつてはトンネル状の地形だったが、採鉱により完全に露出した。(PHOTOGRAPH BY SHANNON MCPHERRON, MPI EVA L
窓の外を見る猫。英ロンドンで(2017年5月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/Justin TALLIS 【6月20日 AFP】ネコは古代エジプトを「征服」するはるか以前に、石器時代の農耕民を魅了していたとする研究論文が19日、発表された。DNA分析で明らかになったところによると、これ以降にネコの家畜化と愛玩動物化が世界中に広まっていったのだという。 原産地を出て世界に拡散した最初の野生ネコで、今日の飼いネコの祖先となったのは、リビアヤマネコ(学名:Felis silvestris lybica)であることが今回、研究で明らかになった。小型でしま模様のある中東産の亜種は全世界に生息地を拡大させるまでに上り詰めた。 リビアヤマネコは約6000年前、現代のトルコ周辺のアナトリア(Anatolia)地域から船で欧州に渡った可能性が高い。「リビアヤマネコの世界征服は新石器時代に始まった」と、論
南アフリカのライジング・スター洞窟で見つかった頭骨を基に復元したホモ・ナレディ。古生物復元模型作家のジョン・ガーチー氏が作成。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 謎の人類ホモ・ナレディが人類進化の系統樹に加えられてから1年半。南アフリカで発掘調査に携わっていた研究チームが新たな分析結果を発表した。発見された当初は、奇妙に原始的な体の特徴からかなり古い時代の人類と考えられていたのだが、実はそれよりもはるかに新しく、初期のホモ・サピエンスと同じ時代に生きていた可能性があるというのだ。 ホモ・ナレディが初めて発見されたのは、2013年のことだった。ヨハネスブルクにあるライジング・スター洞窟の中で、2人の洞窟探検家が大量の骨の化石に行き当たった。アフリカ大陸で、これほどの量の化石が1カ所から発見されたのは、他に例がない。回収して調べ
人類の広がり、まさにパンデミック。 今や地球を覆い尽くすかのように、私たち人類は存在しています。諸説はありますが、今から20万年前のアフリカで私たちの直接の祖先が誕生したとか。10万年前ごろから大陸を移動するようになるも、人口はまだ100万人にも満たなかったそう。 それが農耕を覚え、文明を持ち、さまざまな発明を生み、時には疫病の流行で人口を減らしながらも、世界史で学んだ帝国の栄枯衰退や歴史的な大事件を経て、人類は増え続けました。そして近代のテクノロジーや医療の発展により、そのスピードは加速。 そんな文明や事件が、それぞれどれくらいの人口の増減に影響したのか。そして地球の人口はどのような推移で増加したのかAmerican Museum of Natural History(AMNH)がYouTubeに公開した動画をご覧ください。 人口は黄色の点で示されており、ひとつの点で100万人です。 そ
120年前までは人類未踏の地。地球上で最後に発見された場所はどこ?2016.11.12 17:0521,612 Rina Fukazu 人類は約20万年前にアフリカで誕生したとはいうけれど...。 まだ飛行機も地図もない時代、世界中の国や地域がいつどのように発見されたかご存知ですか? いまでこそインターネットでさくっと検索したり、飛行機でひとっ飛びしたり...約74億人の人々が生活するこの広い地球を探索する手段は豊富にありますが、その一方で何十万年前の人類の化石を調べると、アフリカから近隣の国々、そしてアジアへ、何千年もの時をかけて次から次へユニークな順序で大陸や島が発見されたことがわかります。 たとえばヨーロッパよりも日本のほうが早く見つかったり、オーストラリアが発見されてからニュージーランドが見つかるまで4万年以上かかったり...授業で習わなかった切り口で世界中の国々が発見された歴史を
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