「唯一、生き残るのは変化できるものである」これは進化論の父チャールズ・ダーウィンのセリフだ。だから喜ぼう。私たち人類は今この瞬間も変化している。 『Journal of Anatomy』(20年9月10日付)に掲載された研究によると、前腕に動脈が3本ある人が増えているという。この事実は、私たちがまだ独自の進化を遂げていることを示す証拠と考えられるそうだ。
ワタリガラスの飛行能力は高く、アクロバティックな飛び方ではハヤブサやタカにも引けを取らない。(PHOTOGRAPH BY JOHN MARZLUFF) ワタリガラス (Corvus corax) は、特に珍しい鳥ではない。だが進化の道筋はかなり珍しいことが、最新の研究で明らかになった。 科学者たちが研究に使ったのは、過去20年近くかけてワタリガラスから採取したDNAサンプルだ。それは、北米西海岸のワタリガラスの祖先が、遺伝的に異なる3つの集団に分化していたことを示していた。さらに、そのうちの2つの系統が1つに合わさり、分化を逆戻りする過程の最中とみられるという。研究結果は3月2日付けの学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。 「長い間、私たちは種の進化を木の枝分かれのように考えがちでした。1つの枝から、新しい種が2つに分かれるというふうに」と、研究を主導した米スミソニアン保
4億年前、最初に歩いた動物は、おそらく体にある小さな突起物をせっせと動かして前進したことだろう。このような運動は今も、過去1億年もの間ほとんど進化していないエイの仲間に見られる。(参考記事:「陸に出た最初の魚、足のような強いヒレ」) 最新の研究で、ガンギエイの一種Leucoraja erinaceaは歩くために必要な、人間と同様の神経回路を持っていることが判明、2月8日付けの科学誌『Cell』に論文が発表された。 背骨を揺らさず歩く このガンギエイは、大きめの皿くらいの平たい体に、長い尾がついている。(参考記事:「【動画】深海エイが熱水噴出孔に卵、温めるためか」) ふつうの魚は、泳ぐ際に背骨(脊椎)をくねらせて前へ進むが、ガンギエイの脊椎はまっすぐ伸びている。この点は陸上動物に似ていて、陸の動物たちも脊椎でなく足の筋肉を使って歩行する。 米ニューヨーク大学医学部神経科学研究所のジェレミー・
東京大学(東大)は9月26日、脊椎動物の基本構造が5億年以上の進化を通して変化しなかった要因として、遺伝子の使い回しから生じる制約が寄与している可能性が高いことを大規模遺伝子発現データ解析から明らかにしたと発表した。 同成果は、東京大学大学院理学系研究科の入江直樹准教授らの研究グループによるもので、9月26日付の英国科学誌「Nature Ecology & Evolution」に掲載された。 脊椎動物は5億年以上前に出現して以来、さまざまな形をした動物種に進化し、多様化してきたが、基本的な解剖学的特徴については、どの脊椎動物種も共通しており、体のサイズや重量、体色が多様化してきたことなどに比べると、ほとんど変化がないことが知られている。 この要因についてはこれまでの研究により、脊椎動物の基本構造を決定づける胚発生期が、進化を通して多様化してこなかったことに原因があると考えられてきたが、なぜ
名古屋大学は、同大学大学院理学研究科の鈴木孝幸講師、黒岩厚教授らの研究グループが、理化学研究所および東北大学との共同研究において、進化の過程で脊椎動物の後ろ足の位置の多様性が生み出されたメカニズムを解明したことを発表した。この成果は8月1日、英科学誌「Nature Ecology and Evolution」電子版に掲載された。 脊椎動物の背骨はたくさんの脊椎骨が1列に並んだ構造をしており、脊椎骨は形の違いで頭に近い方から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎と呼ばれている。我々の後ろ足は骨盤を介して仙椎に接続しており、現存の動物のみならず、既に絶滅した恐竜や首長竜、テトラポドピスに至るまで、あらゆる生物種において後ろ足は仙椎に接続している。しかし、なぜ後ろ足は必ず仙椎の場所に作られるのか、また、進化の過程でどのようにして後ろ足の位置が多様化していったのかは明らかになっていなかった。 研究グループは
現生のダチョウと、絶滅した巨鳥エピオルニスの卵(左)。手で持っているのはハチドリの卵で、ジェリービーンズほどの小ささ。(PHOTOGRAPH BY FRANS LANTING, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 続いて研究チームは、似たような形の卵を産む鳥の餌や巣、解剖学的構造に共通点があるのかどうか調べた。(参考記事:「エピオルニスの巨大な卵を探して」) そのなかには、鳥の飛行効率と移動能力を表す「ハンド・ウイング指数」もあった。加えて、出生地から別の場所へ渡りを行う能力も考慮した。 その結果、卵の形は産む数や環境要因、巣の特徴などと関係がない一方で、「ハンド・ウイング指数」が最も高い、つまり最も効率的に飛べる鳥は、卵の非対称性または楕円率が最も高いことがわかった。 「さまざまな形の卵があることについて、最もうまく説明できる要素が飛行能力だとわかり、私たちはショ
クジラの進化の歴史では、巨大化は最近のことらしい。それはなぜ?2017.06.20 15:1012,481 たもり 昔からこんなにデカかったわけじゃない。 世界最大の生き物であるシロナガスクジラは、12種いるヒゲクジラ(ヒゲクジラ亜目)のうちの1種。最大で体重200トンを誇る彼らは歯がなく、代わりにヒゲ板という器官で小さな甲殻類のオキアミをこしとるようにして捕食しています。その大きさが注目されるシロナガスクジラですが、新たな研究によれば、このろ過摂食と大量のオキアミが、クジラが巨大化した原因だというのです。 The Royal Society Publishingにおいて、学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に、クジラの巨大化に関する近年の進化の原因を調査した論文が掲載されました。全米から集まった科学者のチームが、ワシントンD.C.にあるスミソニア
南アフリカのライジング・スター洞窟で見つかった頭骨を基に復元したホモ・ナレディ。古生物復元模型作家のジョン・ガーチー氏が作成。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 謎の人類ホモ・ナレディが人類進化の系統樹に加えられてから1年半。南アフリカで発掘調査に携わっていた研究チームが新たな分析結果を発表した。発見された当初は、奇妙に原始的な体の特徴からかなり古い時代の人類と考えられていたのだが、実はそれよりもはるかに新しく、初期のホモ・サピエンスと同じ時代に生きていた可能性があるというのだ。 ホモ・ナレディが初めて発見されたのは、2013年のことだった。ヨハネスブルクにあるライジング・スター洞窟の中で、2人の洞窟探検家が大量の骨の化石に行き当たった。アフリカ大陸で、これほどの量の化石が1カ所から発見されたのは、他に例がない。回収して調べ
エクアドルで見つかった新種のカエル。長らく近親種のPristimantis ornatissimusと混同されてきたが、模様が異なっている。(PHOTOGRAPH BY JAIME CULEBRAS) エクアドルでカエルの新種が見つかった。しかし、すでに絶滅の危機に瀕している可能性が高い。 この新種は、長いこと近親種のPristimantis ornatissimusと混同されてきた。黄色と黒の体が特徴的な、よく知られたカエルだ。 新種のカエルを発見したのは、エクアドルのキトにあるサン・フランシスコ・デ・キト大学の進化生物学者フアン・マヌエル・グアヤサミン氏のチームだ。実は、このチームは新種を探していたわけではなく、既知の種を詳しく調べようとしていただけだった。 しかし、研究チームはあることに気づいた。北部の海岸地域チョコにすむカエルとアンデス山脈のふもとのカエルでは、体の模様に思わぬ違い
ティラノサウルス類の骨格標本を見る人。モンゴルの首都ウランバートルの博物館で(2016年7月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/Johannes EISELE 【3月23日 AFP】恐竜は130年もの間、その複雑な系統樹の最初の分岐点として「鳥盤類」と「竜盤類」の2大グループに分類されてきた。だが、教科書や古生物学界で疑いようのない事実として説明されてきたこの系統樹を覆す可能性のある「革命的」論文が22日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。 論文の共著者、英ロンドン(London)自然史博物館(Natural History Museum)のポール・バレット(Paul Barrett)氏は「われわれの研究は130年にわたる定説を覆すものだ」と語った。 研究チームが原始的な恐竜の特徴を詳細に分析した結果、竜盤類に分類されるティラノサウルス・レックス(T・レックス)と、鳥盤類に属
食虫植物はなぜ肉食になったの?2017.03.07 07:0615,364 Rina Fukazu すべては、生き残るために...。 1980年代後半に公開されたアメリカのSFホラー映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』のなかでは、血に飢えたモンスターのように描写された食虫植物ですが、もちろん現実の世界でそんなことは起きません。 実際は何を食べるのかというと、生息地にもよりますがハエからカエルまで、ありとあらゆるものを捕まえて食べるといわれています。そんな食虫植物は、どのようにして肉食になったのでしょうか。 Nature Ecology & Evolutionで新たな研究結果を公開したのは、数名の日本人を含む国際的な科学者チーム。オーストラリア、アジア、アメリカ原生の3種類の食虫植物について詳しい分析が行なわれました。 研究では、まるで獲物を捕まえる落とし穴のような袋状の構造を持つ「嚢(
「鳥になる遺伝子」をスイッチオン! 恐竜から進化したと噂の鳥。進化のヒミツは「遺伝子の使い方」だった2017.02.15 12:257,834 渡邊徹則 鳥を見る目が変わりそう。 最近の研究により「鳥は恐竜から進化したもの」というのが定説になっていますが、正直、見た目は似ているような似ていないような…。 それもそのはずで、我々が想像する恐竜の姿から今の鳥の姿にどう変わっていったのかは、これまでほとんどわかっていなかったそうです。 国立遺伝学研究所の発表によれば、東北大学の田村宏治教授を中心としたグループは、48種類の鳥のゲノムDNAを他の動物のものと比較することにより、「鳥らしさ」をもたらすDNA配列を探す研究を実施。 その結果、鳥は進化過程において、新しい遺伝子を獲得したわけではなく、すでに持っていた遺伝子の使い方を変えることで、「鳥らしさ」を進化させていたことがわかりました。 遺伝子の
冬になると、きまってインフルエンザ・ウイルスの話が出てきますよね。インフルエンザ・ウイルスが流行するのは、ウイルスが他の細胞に感染することによって自己増殖するからです。 細胞と、ウイルスの大きな違いはDNAを保護する細胞核の有無。ウイルスは、細胞核を持たないがゆえに、他の細胞に感染しないとDNAを複製というわけです。 カリフォルニア大学の研究チームは、こんなウイルスの定説を覆す現象を発見しました。ウイルスが感染した細胞のタンパク質を使って、DNAを保護する細胞核らしきモノを生成する瞬間を撮影することに成功したのです。 同研究チームは、観察しやすくするために発光するタンパク質を付着させたバクテリオファージと呼ばれる細菌に感染する性質のあるウイルスに、感染先となる細菌を与えました。すると、バクテリオファージは、細菌のタンパク質を使って、自己のDNAを覆う膜を生成したのです。この膜に覆われたDN
教科書のウソ 人類の進化を表す“あの図”は間違いだった This is NOT What Evolution Looks Like たった6段階の人間の進化の過程を表した有名な図。一度は見たことがあるでしょう。しかしあの図は現代の科学では正しいとは言えません。では本来であればどう描かれるべきなのか、解説していきます。 人間が猿人から進化してきた図は間違い? ハンク・グリーン氏:二重らせんとあの有名なザ・ブルー・マーブルの地球の写真はともに宇宙から撮られたものです。 そしてこれは世界で最も知られた科学のイメージの1つですね。 簡単なたった6段階の人間の進化の過程です。でも、もちろん、プロのレスリングとテレビのリアリティ番組が教えてくれているように、なにかとても人気のあるものが現実の描写と合致しているわけではありません。 では、説明させてもらいましょう。右側の裸の男性がわかりますね。これはホモ
文=カール・ジンマー 写真=ロバート・クラーク イラスト=シンリーター 鳥の翼に生えた羽毛はいつ誕生し、どのように変わってきたのか。最新の発掘調査や研究から、羽毛の進化の歴史がわかってきた。 自然界には、生物進化が生んだ傑作が数々あるが、それに出合える機会はまれだ。たとえば、ダイオウイカの目玉。バスケットボールほどの大きさがあるというが、実際に目にすることなどまずない。 けれども一つだけ、家から一歩出るだけで出合える自然の驚異がある。それは羽をもち、空を飛ぶ恐竜、すなわち鳥である。 私たちは、鳥が恐竜から進化したことも、羽という独創的な発明品をもっていることも、当たり前すぎて、改めて考えてみようともしない。だが実際は、飛ぶための羽である風切羽(かざきりばね)は、風圧に耐えられるよう左右が非対称になっているし、翼はちょっと傾けるだけで、その上と下で空気の流れが変わり、宙に浮くことができる。
絶滅危惧種のオカリト(ローウィ)キーウィ(Apteryx rowi)。ニュージーランド南島、フランツジョセフのウェストコースト野生生物センターにて。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK) 数百万年前、ニュージーランドへ小さな鳥が飛来した。新しい土地には、鳥にとって脅威となるものがほとんどなく、暮らしは快適。島にすむ鳥にありがちなことだが、天敵となる哺乳類がいなかったため、この鳥の子孫も次第に飛ぶ能力を失っていった。 さらに鳥たちは、哺乳類がやるように枯葉をかき分けてミミズや土の中の虫を探すように進化していった。後に、ニュージーランドの象徴として愛されるようになるキーウィの祖先たちである。 つい最近まで確認されていたキーウィの種は、オオマダラキーウィ(またはロロア)、コマダラキーウィ、そしてブラウンキーウィ(また
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