テスラの業績減速の背景には、中国のEV市場の競争激化がある。特に、EV分野の価格競争は熾烈を極めている。2019年、中国国内で約500のEVメーカーが政府に登録された。どう見ても、過剰メーカーがひしめいていた。 その結果、価格競争は激化した。不動産バブル崩壊による景気低迷も深刻化した。EVメーカーは100社程度に淘汰されたとみられる。中国EV市場は、多くの企業が血で血を洗うような激しい価格競争を繰り広げる、いわゆる“レッドオーシャン”の状況に陥っている。 「EV一本足打法」が裏目に出たか それに加えて、米国市場でもテスラの成長の勢いは鈍化している。航続距離の短さ、充電インフラの整備の遅れなど、消費者の好みはハイブリッド(HV)やエンジン車に向かい始めた。テスラの新型モデルの供給体制に不安を強める消費者も多い。 今後、中国EVメーカーの追撃はさらに厳しさを増すことだろう。テスラの打開策が本格
EV販売鈍化と価格競争に苦慮するテスラ。同社を率いるイーロン・マスクCEOは、困難なかじ取りを迫られている "EV最強王者"として世界を席巻してきたテスラだが、今、逆風にさらされているという。急減速の背景には何が? そもそもテスラってどんな会社なの? トヨタと提携していたってマジ? 徹底取材した。 ■オートパイロットはレベル2の技術 EV王者が減収減益に悶絶している! 4月23日、米EV大手テスラが衝撃の決算を発表した。それによると、今年1~3月期の世界販売台数は前年同期比8.5%減の約38万台。売り上げは前年同期比9%減の213億100万ドル(約3兆3000億円)。 最終利益は前年同期比55%減の11億2900万ドル(約1700億円)という大幅な減益となった。ちなみに同社にとって減収減益は4年ぶり。 この地獄の決算はテスラの懐にズドンと響いたようで、従業員14万人のうち10%を削減する大
電気自動車(EV)大手・米テスラの株価が大きく下がっている。ジャーナリストの岩田太郎さんは「テスラの販売台数は前年割れし、利益率でもトヨタを下回り、『成長なき成長企業』となっている。このままだと時価総額でもトヨタに再逆転される可能性がある」という――。 「トヨタはなぜテスラになれないのか」と言われていた 米EV業界の雄であるテスラの時価総額は、世界的にヒートアップした電気自動車(EV)ブームに乗り、2020年7月に日本のトヨタ自動車を抜いて、自動車メーカーとしては世界一となった。 2021年11月には、すべての日本メーカーの時価総額をはるかに上回る、1兆2000億ドル超(約185兆円)を達成している。 一方、この時のトヨタの時価総額は2482億ドル(約38兆円)。このため日本では、「トヨタはなぜテスラになれないのか」という言説が広く語られるようになった。
21年12月に、現在の社民党、緑の党、自民党の連立政権が成立した後は、その主張がさらに強調され、緑の党のたっての要求で、「理想としては30年に脱石炭」という文言が政府の連立協定に組み込まれた。つまり、現在、ハーベック氏はその方針に従って、脱石炭を進めているわけだ。 ただ、現実問題として、ドイツは昨年の4月に原発が無くなって以来、電気代の高騰と供給不安で、そうでなくても経済が急激に傾き始めている。3月6日にifo経済研究所が発表した景気予測によれば、ドイツ経済は「麻痺した状態」で、その他の欧州の大きな国々と比べても明確に下落中。「他国では国民のあいだの雰囲気も良く、先行きに対する不安感が少なく、すでに23年秋頃より、当該の指数なども上向き傾向を示している」という。ドイツだけが完全に落ちこぼれている。 脱原発、脱石炭の次は「脱産業」が始まる ところが、ドイツのハーベック経済相は馬耳東風。昨年、
EV販売の減速が止まらない 米国では昨年後半から電気自動車(EV)の不振が顕著に見られるようになったが、2024年に入り、さらに鮮明化・定着化している。 EV各社は赤字や収益率低覚悟の値引き、毎年2月の国民的スポーツイベントであるNFLのスーパーボウル中継への広告出稿、さらに廉価モデルの市場投入などテコ入れを図っているが、販売の減速が止まらない。 昨年の今ごろは、EV販売が右肩上がりという論調ばかりであったが、そのころには想像すらできなかった「2024年のEV販売台数が前年割れ」の可能性すらメディアで指摘されている始末だ。 一方、トヨタをはじめとする日本勢のハイブリッド車は飛ぶような売れ行きである。 なぜ米国でハイブリッドが爆売れするのか。理由を探ると、EVとの比較における経済的・環境的な合理性が認識され、消費者ファーストの使いやすさが圧倒的な支持を受けていることがわかる。 「EVブーム」
4月25日のコラム<中国はなぜ安価なEVを生産できるのか?>で、2023年5月16日のニューヨーク・タイムズの<Can the World Make an Electric Car Battery Without China?(中国抜きで世界はEV用バッテリーを製造できるのか?)>という報道に関して、時間があれば詳細を別途解説したいと書いた。体力はさて置き、時間が今日1日だけあるので、そのお約束を果たしたい。 ニューヨーク・タイムズの内容はかなり専門的なので、何を言っているかがピンと来ない可能性がある。そこでまず、リチウムイオン電池の基本構造と原理からご説明する。筆者はゼロから理解するというのでないと納得しないので、プロの方は原理の部分は飛ばしてお読みいただきたい。 ◆リチウムイオン電池の原理 小学生に説明するようで申し訳ないが、筆者自身は「小学生の知識」から入っていくのが主義なので、図表
中国商務相、EV産業「補助金に頼らず」 米欧の批判に反論 時事通信 外経部2024年04月08日20時58分配信 中国の王文濤商務相=3月6日、北京(AFP時事) 【北京時事】中国の王文濤商務相は7日、訪問先のフランスで、中国の電気自動車(EV)産業が「補助金によって競争上の優位性を得たわけではない」と述べ、米欧で高まる補助金批判に反論した。中国商務省が8日に発言内容を公表した。 トヨタ、3月の中国新車販売3.1%減 価格競争響く 王氏は、中国のEV産業の成長は、技術革新やサプライチェーン(供給網)の整備に伴うものと主張。中国がEVを「過剰生産」しているとの批判が米欧で出ていることには「根拠がない」と反発した。 国際 「1.5℃の約束」気候変動 コメントをする 最終更新:2024年04月09日13時03分
VW社のEVシフト 9月14日、フォルクスワーゲン社のツヴィッカウ工場で、従業員総会が開かれ、1万700人の従業員のうち、269人の雇用契約が更新されないことが発表された。つまり、269人が、早ければ11月から失業する。 本人と家族にとっては悲劇だ。しかも、それ以外にも、1年の雇用契約で働いている従業員がまだ2000人近くいるらしいから、その人たちの運命も安泰とは言えない。この不景気の下、今後、解雇が時間差で告知される可能性がある。 ツヴィッカウは旧東独のザクセン州の町だ。1990年の東西ドイツの統一直後、フォルクスワーゲン社は同地に進出し、以後、ほぼ30年間、主にゴルフを営々と製造してきた。 同社はその他、やはりザクセン州の州都のドレスデンとケムニッツ(旧名・カール・マルクス市で旧東独の工業の中心だった)にも工場を持つ。発展がスムーズにいかなかった旧東独地域において、それらが景気高揚の活
BYDは世界有数のリチウムイオン電池のメーカーとして、またプラグインハイブリッド車(PHEV)やEVのメーカーとして世界的に知られる中国企業だ。1995年に設立された同社は、2003年、自動車事業に参入。現在は日本や欧州を含む「世界6大陸・70超の国と地域・400超の都市」でEVの販売網を展開している。 BYDの強みは、EV用の電池からEV本体まで、自社で一貫して開発・製造していることだ。一般に大手自動車メーカーではサプライヤーによる分業が中心だが、BYDはEV生産に必要な部品をすべて自社生産することで、スピーディーな開発と生産が可能。同社のEV生産台数は、最大手のテスラに迫る勢いとなっている。 この記事ではEV分野におけるBYDの躍進と、そのことが日本企業にもたらす課題について、過去記事から紹介する。 テスラ猛追のBYD、「日本車の牙城」アジアを席巻 破竹の勢いで成長を遂げるBYD。性能
電気自動車(EV)が売れている。中国ではバッテリー稼働(BEV)とプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を合わせたEV乗用車の月間販売台数が今年3月から50万台を超え、販売される乗用車の3台に1台がEVになった。 欧州主要国、独英仏では、販売される乗用車の5台に1台がEVになっている。5月の世界のEV乗用車の販売台数は、100万台を超えたはずだ。 22年の世界の自動車の販売台数は約8200万台。国際エネルギー機関(IEA)によると、EV乗用車の販売台数は約1020万台。トラックなどの商用車を含めるとEV車は1050万台になり、シェアは12%を超えた。 中国と欧州の乗用車市場に米国の乗用車、SUV、ピックアップトラック市場を加えると、3市場は世界の約7割のシェアを持つ規模になる。EVのシェアが大きい中国と欧州だけで世界市場の約5割だ。 中国と欧州、世界市場の半分が積極的なEV導入に向かい、EV
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