阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2015年12月28日 [reuters]怪しい上場企業にJPXが「情報開示責め」 東京証券取引所の大納会が迫ったこの時期は、様々な統計がほぼ固まるタイミングでもある。日本取引所グループ(JPX)のHPに掲載されている上場廃止関連の資料をみて、「へぇー」と思わされた。 今年上場廃止が決まったのは東証一部・二部、マザーズ、ジャスダックで68銘柄(12月24日現在)。そのほとんどはM&Aに絡んだものだが、じわりと増えているのが日本取引所グループの自主規制法人の判断や裁量で強制退場が決まった上場廃止だ。 わずか4銘柄に過ぎないが、前年までは年間1-2銘柄でしかなく、さらに遡ると10年間で1-2銘柄しかなかった時期もあったから、何かしらの変化を感じずにはいられない。来年は強制退場させられる銘柄がさらに増えるのだろう。 その兆候はある。上場廃止に加え、「開
「当社のグローバル戦略は長期的視野に立ったもの。不退転の決意で継続する」「3年後には株主価値を出す。それが株主に対する経営責任だ」LIXILグループの藤森義明社長は6月3日に開いた緊急記者会見で、そう語った。 会見では、中国子会社・ジョウユウ(本社・独ハンブルク)の不正会計にからみ、自社の損失が総額660億円に上ると発表。従来見込んでいた額がさらに1.6倍に膨らむという内容で、報道陣からは経営責任を問う質問も少なくなかった。だが、藤森社長は時折、笑顔すら見せつつ、いつもと変わらぬ強気の姿勢を貫いた。 成長戦略に疑問符 発覚したのは実に深刻な不正だった。4月1日に連結子会社化した水栓金具の中国メーカー、ジョウユウ(本社・独ハンブルク)が、巨額の簿外債務を抱えていると判明。金額は確定していないものの、LIXILが計上する損失額を上回るというから、700億円以上の債務を隠していたと推定される。ま
だが一方で、買収戦略の中では蹉跌も生じた。最大の失敗は、グローエ買収に伴って傘下に収めた、中国の水栓金具メーカー・ジョウユウの粉飾決算だ。創業者の蔡親子によるとされる巨額の簿外債務が発覚、上場していたドイツで2015年5月に破産処理を行い、LIXILは関連して660億円もの損失を被った。 さらには前代未聞にも、ジョウユウは「ドイツにおける破産処理は中国での経営に影響しない」と、一方的に宣言。創業一族を経営幹部に据えたまま、現在も中国で経営を続けている。LIXILは債権約360億円の回収に乗り出しているものの、もはや糸の切れた凧である、ジョウユウと創業者親子が経営資源や個人資産から返済額を捻出するとは、期待しにくいのが現状だ。 目利き力の問題 M&Aによる失敗は、通常、収益向上策が計画通りにはいかなかったという、買収後の経営力不足によるもの。だがジョウユウの場合、そもそもが負債まみれの”まが
LIXIL陥れた中国「魔窟」 662億円も丸損させてどこ吹く風。そもそも「買ってはいけない」会社の本拠地、福建省侖蒼鎮をルポ。 2015年9月号 BUSINESS [ 「毒饅頭」ジョウユウの町] 「破産? さあ、会社からは何の説明もないが、工場は開いているよ。でも最近はほとんど仕事がない。この先一体どうなることやら」――。 通用門から出てきた男性工員は、憂鬱な顔でタバコをくゆらせながらそう語った。すぐ隣に立つ寮の窓を見上げると、どの部屋にも室内に洗濯物が吊され、今も多数の工員が暮らしているのがわかる。他にも複数の工員をつかまえて話を聞いたが、会社が存続しているのは間違いなかった。 福建省東南部の大都市、泉州から、高級中国茶の鉄観音の産地として有名な安渓に向かう路線バスに揺られること約40分。四方を山に囲まれた川沿いの農村風景のなかに、突如場違いなツインタワーや建設中の高層マンションが姿を現
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