タグ

ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (51)

  • ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった

    有名だけど退屈な小説の代表格は、『一九八四年』だ。全体主義による監視社会を描いたディストピア小説として有名なやつ。 2017年、ドナルド・トランプが大統領に就任した際にベストセラーになったので、ご存知の方も多いだろう。「党」が全てを独裁し、嘘と憎しみとプロパガンダをふりまく国家が、現実と異なる発表を 「もう一つの事実(alternative facts)」 と強弁した大統領側近と重なったからかもしれぬ。 『一九八四年』は、学生の頃にハヤカワ文庫で読んだことがある。「ディストピア小説の傑作」という文句に惹かれたのだが、面白いという印象はなかった。 主人公のウィンストンは優柔不断で、あれこれグルグル考えているだけで、自ら行動を起こすというよりも、周囲の状況に流され、成り行きで選んでゆく。高尚な信念というより下半身の欲求に従っているように見える。 「党」を体現する人物との対話も、やたら小難しく何

    ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった
    takeishi
    takeishi 2024/01/27
  • システム開発に銀の弾丸はないが「金の弾丸」ならある『人が増えても速くならない』

    例えばソフトウェア開発において、 人が増えても納期が短くなるとは限らない 見積もりを求めるほどに絶望感が増す 納期をゴリ押すと、後から品質はリカバリできない これを見て、「だよねー」「あるあるw」という人は、書を読む必要はない。 プログラミングは人海戦術で何とかならないし、「厳密に見積もれ」というプレッシャーは見積額を底上げするし、納期が優先されて切り捨てられた品質は、技術的負債として残り続ける。経験豊富なエンジニアなら、大なり小なり、酷い目に遭ってきただろうから。 だが、これらを理解できない人がいる。 要員を追加して、手分けしてやれば一気に片付くはず 厳密にやれば、見積りバッファーはゼロにできる 品質のことはリリース後にじっくりやればいい ……などと気で考えている。これは、ソフトウェア開発とはどういうものか、特性を知らないからだ。こんな無知な人間が経営層にいたり、顧客の代表となった場

    システム開発に銀の弾丸はないが「金の弾丸」ならある『人が増えても速くならない』
  • うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』

    うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』 大人になってから、うんこを漏らしたことがあるだろうか? 私はある。 が「彼女」だった頃、同棲先の彼女のマンションで漏らした。西友で買い忘れたものがあるという彼女を残して、鍋の具材を運んでいたときだ。 お腹の調子が悪かったのは覚えている。体の中心に熱泥が吊り下がるような感覚があった。西友のトイレを使わせてもらえばよかったことも覚えている。 だが、間に合うだろうと考えていた。目算を誤らせたのは、材の重さによる移動速度の低下と、彼女のマンションまでの道のりである。一緒に暮らし始めて間もないため、道を間違えたのだ。 真冬にも関わらず脂汗を流し、全身の筋肉を一点に集中させ、そのことだけは許されまいという思考だけが頭を支配し、奇妙にねじくれた足取りで、走るな、走れば破局だと言い聞か

    うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』
  • ルーク・スカイウォーカーの初登場までに17分もかかった理由『脚本の科学』

    面白い物語の法則として「主役はできるだけ早く登場させて印象づけろ」というものがある。 にも関わらず、最初の『スター・ウォーズ』はこのルールを破っている。小さな宇宙船を追跡する超大型戦艦から始まり、悪の親玉に捕まるお姫様を描き、辛くも脱出するロボットのコンビを描く。 メイン・キャラクターであるルーク・スカイウォーカーが出てくるのは、映画が開始して17分が経過してからになる。 一方、『スター・ウォーズ』のオリジナルの脚では、4ページ目からルークが紹介されるシーンがある。ほぼ冒頭から登場するのだが、このシーンは映画に入っていない。脚家のジョージ・ルーカスは慣習に従ってルークを冒頭で出しているが、監督のジョージ・ルーカスはそうしなかった。 なぜか? 様々な説が考えられるが、『脚の科学』によると、「その必然性が無かったから」になる。 いきなり始まる怒涛のバトル&追跡劇で息つく暇もない観客は「逃

    ルーク・スカイウォーカーの初登場までに17分もかかった理由『脚本の科学』
    takeishi
    takeishi 2023/05/27
  • 時を忘れる小説

    大きな現実の前では、文学はつくづく無力だな。 そも文学は人と人との間学(あいだがく)なのだから、人を超える圧倒的な事物には、術がない。しかし、言葉が人に対して影響をもつものなら、それがいかに微かであろうとも、その力を信じる。わたしは、物語の力を、信じる。 このエントリでは、時を忘れる夢中小説、徹夜小説を選んでみた。計画停電でテレビや電車が動かないとき、開いてみるといいかも。amazonからは書影のみお借りして、リンクはしていない。自分の書棚か、営業してる屋を巡ろう。文庫で、手に入り安そうなもので、かつ面白さ鉄板モノばかり選んだ。いま手に入りにくいのであれば、手に取れるようになったときの「おたのしみリスト」として期待してくださいませ。 ■大聖堂(ケン・フォレット、ソフトバンククリエイティブ) 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々の波瀾万丈の物語……とamazon評でまとめきれないぐら

    時を忘れる小説
    takeishi
    takeishi 2022/11/19
    デュマは通らないといかんだろうなー。
  • ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』

    夢中にさせて寝かせてくれず、ドキドキハラハラ手に汗握らせ、呼吸を忘れるほど爆笑させ、ページを繰るのが怖いほど緊張感MAXにさせ、いしばった歯から血の味がするぐらい怒りを煽り、思い出すたびに胸が詰まり涙を流させ、叫びながらガッツポーズのために立ち上がるほどスカッとさせ、驚きのあまり手からが転げ落ちるような傑作がこれだ。 この世でいちばん面白い小説は『モンテ・クリスト伯』で確定だが、この世でいちばん面白いファンタジーは『氷と炎の歌』になる。 書いた人は、ジョージ・R・R・マーティン。稀代のSF作家であり、売れっ子のテレビプロデューサー&脚家であり、名作アンソロジーを編む優れた編集者でもある。 短篇・長編ともに、恐ろしくリーダビリティが高く、主な文学賞だけでも、世界幻想文学大賞(1989)、ヒューゴー賞(1975、1980)、ネビュラ賞(1980、1986)、ローカス賞(1976、1978

    ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』
    takeishi
    takeishi 2022/11/19
    ゲームオブスローンズの原作
  • 原文で読むからこそ味わえるヘミングウェイの文章の味『ヘミングウェイで学ぶ英文法』

    正直に告白すると、ヘミングウェイは苦手だった。 簡潔で、説明不足で、ぶっきらぼうな文体だったから。 しかし、このを読んで、考えが変わった。 例えば、”Cat in the rain” における、雨宿りをしている子を見かけたが、夫に告げるシーンだ。 “I’m going down and get that kitty,” the American wife said. “I’ll do it,” her husband offered from the bed. “No, I’ll get it. The poor kitty out trying to keep dry under a table.” 書の解説で、「現在進行形(I’m going)と will の違いが分かりますか」と問いかけられる。 え? be going ~って、結局、『~するつもり』だから、will と一緒で

    原文で読むからこそ味わえるヘミングウェイの文章の味『ヘミングウェイで学ぶ英文法』
  • 「科学」と「正義」を混同すると、たいてい地獄ができあがる『禍いの科学』

    アヘン、マーガリン、優生学、ロボトミーなど、科学的に正しかった禍(わざわ)いが、7章にわたって紹介されている。あたりまえだった「常識」を揺るがせにくる。 ヒトラーの優生学 たとえば、アドルフ・ヒトラーの優生学。 劣悪な人種を排除すれば、ドイツを「純化」できると信じ、ユダヤ人を虐殺したことはあまりにも有名だ。 だが、ガス室へ送り込まれたのは、ユダヤ人だけではない。うつ病、知的障害、てんかん、同性愛者など、医者が「生きるに値しない」と選別した人々が、収容所に送り込まれ、積極的に安楽死させられていった(『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』が詳しい)。 『禍いの科学』によると、ナチスの優生学は、ヒトラー自身が編み出したものではないという。出所は、『偉大な人種の消滅』という一冊ので、ヒトラーが読みふけり、「このは、私にとっての聖書だ」とまで述べたという。 『偉大な人種の消滅』はマディソン・グラ

    「科学」と「正義」を混同すると、たいてい地獄ができあがる『禍いの科学』
    takeishi
    takeishi 2021/01/10
    今度は二酸化炭素削減に向けて人類まっしぐらやん
  • 大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)

    このマンガは、同級生のお尻を見てたら、ひっぱたかれるところから始まる。 ……このシーンは、主人公の実(みのる)の目線ではない。お尻を見てたのは亡き父で、その記憶が、折に触れて、実の脳内に蘇るのだ。 お尻の持ち主は、若かりし頃のお母さん(旧姓:大蜘蛛ちゃん)。つまり、母に一途な父の目線でもって、「女子高生のお母さん」の記憶が、息子にフラッシュバックされる。 そして厄介なのは、実は、お母さんに恋をしてしまっていること。女子高生のお母さん(細身で強気)と、今のお母さん(むっちり無防備)に煩悶する、マザコンラブコメ。 「お母さんに恋してる」なんて、ちょっとヤバくね? その自覚はある。だから実は自問する。 だけど、お母さんとの日常に、父の過去の記憶が入ってくると、女子高生のお母さんの可愛いさに撃たれる。そして、(ここ重要)父がどれほど母を好きだったか、ということを、父の目線で思い知る。だから実は煩悶

    大好きなマンガが完結したので全力でお勧めする『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック』(ネタバレ無し)
    takeishi
    takeishi 2020/08/23
    まさかブルマが描きたくて父の記憶がフラッシュバックする設定に…
  • 致死性ウイルス感染症が日常を浸食するプロセスを描いたSF

    もし、致死性ウイルス感染症の封じ込めに失敗し、パンデミックになるとしたら、それはどのようなプロセスをたどり、わたしたちの日常生活に、どう見えるのか? テレビやネットの情報は、日常の観点が少ない。 せいぜい、手洗いうがいの励行を促されるぐらい。緊迫した現場や、人種差別的な言動を目にして、不安だけは募るのに、この事態が進行していくと、わたしの日常をどうなっていくのか、想像するのが難しい。 では、最悪の場合、わたしたちの日常は、どうなっていくのか? 最悪が浸する日常『復活の日』(小松左京) 小松左京『復活の日』が、参考になる。 生物兵器として開発されたMM-88ウィルスを搭載した小型機が、冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、ウィルスは爆発的な勢いで世界各地を襲い始める。未知の致死性ウイルスに、人類はなすすべもなく倒れてゆく―――というお話だ。 小松左京は、日常が浸されてゆくプロセスを

    致死性ウイルス感染症が日常を浸食するプロセスを描いたSF
    takeishi
    takeishi 2020/02/07
    今回の新型コロナウイルスの今後の帰趨については、2009年新型インフルエンザ並みの推移を予想しておけばあまり外れないかと。https://b.hatena.ne.jp/takeishi/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6
  • ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』

    たとえば天下りマネージャーがやってきて、今度のプロジェクトでバグを撲滅すると言い出す。 そのため、バグを出したプログラマやベンダーはペナルティを課すと宣言する。そして、バグ管理簿を毎週チェックし始める。 すると、期待通りバグは出てこなくなる。代わりに「インシデント管理簿」が作成され、そこで不具合の解析や改修調整をするようになる。「バグ管理簿」に記載されるのは、ドキュメントの誤字脱字など無害なものになる。天下りの馬鹿マネージャーに出て行ってもらうまで。 天下りマネージャーが馬鹿なのは、なぜバグを管理するかを理解していないからだ。 なぜバグを管理するかというと、テストが想定通り進んでいて、品質を担保されているか測るためだ。沢山テストされてるならバグは出やすいし、熟知しているプログラマならバグは出にくい(反対に、テスト項目は消化しているのに、バグが出ないと、テストの品質を疑ってみる)。バグの出具

    ミスが全くない仕事を目標にすると、ミスが報告されなくなる『測りすぎ』
    takeishi
    takeishi 2019/09/25
  • 読書猿『問題解決大全』はスゴ本

    一生役立つ一冊。 これ、言い切っていいと思うが、わたしが直面するあらゆる問題は、検討済みである。 新しい問題なんてものはない。「問題」をどの抽象度で定義するかにもよるが、新しく「見える」だけで、分析してみれば、分解してみれば、裏返してみれば、再定義すれば、古今東西の人たちがすでに悩み、検討し、着手し、対処してきた問題であるにすぎぬ。 ただし、対応する人にとってみれば、それは新しい問題である。または、初見の状況に直面することもある。だが、人や状況が違えども、問題そのものは、ほどいてみれば、既出なのだ。新しい状況下で、新しい人が、既出の問題を解き直しているといえる。 そして、問題を解決するための方法もまた既出である。わたしが知らないだけで、古今東西の人たちがすでに考え抜いている。ある手法は学問分野になっていたり、またある方法はライフハックやビジネスメソッドになっていたりする。規制や法制度化され

    読書猿『問題解決大全』はスゴ本
    takeishi
    takeishi 2017/11/28
  • 『虚数の情緒』はスゴ本

    一言なら鈍器。二言なら前代未聞の独学書。中学の数学レベルから、電卓を片手に、虚数を軸として世界をどこまで知ることができるかを追求した一冊。 「スゴ」とは凄いのこと。知識や見解のみならず、思考や人生をアップデートするような凄いを指す。ページは1000を超え、重さは1kgを超え、中味は数学物理学文学哲学野球と多岐に渡る。中高生のとき出合っていたら、間違いなく人生を変えるスゴになっていただろう。 ざっと見渡しても、自然数、整数、小数、有理数と無理数、無理数、素数、虚数、複素数、三角関数、指数、関数と方程式、確率、微分と積分、オイラーの公式、力学、振動、電磁気学、サイクロイド、フーリエ級数、フーコーの振り子、波動方程式、マックスウェルの方程式、シュレーディンガー方程式、相対性理論、量子力学、場の量子論を展開し、文学、音楽、天文学、哲学、野球に応用する、膨大な知識と情熱が、みっちり詰め込まれ

    『虚数の情緒』はスゴ本
  • 『小説・秒速5センチメートル』の破壊力について

    もし今まで観た中で最高のアニメを問われたら、ためらうことなく「秒速5センチメートル」を挙げる。 3編にわたるオムニバス形式で、初恋が記憶から思い出となり、思い出から心そのものとなる様を、驚異的なまでの映像美で綴っている。 ノスタルジックで淡く甘い展開を想像していたら、強い痛みに見舞われる。わたしの心が身体のどこにあってどのような姿をしているのか、痛みの輪郭で正確になぞることができる。予備知識ゼロで観てしまったので、徹底的に打ちのめされた。涙と鼻汁だけでなく、口の中が血の味がした(ずっと奥歯を噛みしめていたんだと思う)。初めて観終わったとき、それほど長い映画でもなかったのに(1時間とすこし)、疲労感で起き上がれなくなった(ずっと全身に力を込めていたんだと思う)。 何度も観ているうちに、「それを観たときの出来事」が層のように積まれていく。どんな季節に、誰と/独りで、何を思い出しながら観たかが、

    『小説・秒速5センチメートル』の破壊力について
    takeishi
    takeishi 2016/07/12
    いつの間にか文庫になってたのね
  • 苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』

    せめて、死ぬときぐらい安らかに逝きたい。 だが、現代の日では難しいらしい。老いて病を得て寝たきりになっても、そこから死にきるためには、じゅうぶんな時間と金と苦しみを必要とする。寝たきりで、オムツして、管から栄養補給する。痰の吸引は苦しいが、抵抗すると縛られる。何も分からず、しゃべれず、苦しまないと死ぬことすらままならない。 タイトルの「欧米に寝たきり老人はいない」理由は、簡単だが単純ではない。というのも、「寝たきりになる前に(延命治療を拒否して)死ぬから」が答えであることは分かっていても、なぜ「延命治療を拒否する」ことが一般化しているか明らかでないから。書によると、数十年前までは日と同様に、終末期の高齢者に対し、濃厚医療が普通だったという。欧米では、これが倫理的でないという考えが広まり、終末期は「べるだけ・飲めるだけ」が社会常識になった。金の切れ目が命の切れ目。高齢化社会に伴う医療

    苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』
    takeishi
    takeishi 2015/09/22
    敬老の日前日放送のNHKスペシャルでは、「本人の意思で」経管栄養や酸素吸入はしない、事になってたなあ。とある特別養護老人ホームが舞台だった。(民間じゃ無いから?)
  • 事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』

    人は一生のうち、一度は交通事故に遭遇して負傷するか死亡する可能性があるという。書は、その確率をより小さくするための一助となる。 著者は早稲田大学の教員で、行動特性の観点から交通事故におけるヒューマンエラー分析を行ってきた。その知見を元に、人間心理、車の構造、交通システム、運転環境の視点で、「どうしたら事故を減らせるか」に迫る。人は間違いをするものだが、車が衝突するかしないかは、ドライバー次第であるという主張に身が引き締まる。事故る人と事故らない人のあいだには、運以外のものが沢山あることが分かる。 「人は間違える」という前提で、「物陰から急に飛び出してきた」という証言や、「とっさのことで間に合わなかった」という説明が再検証される。突然、危険が発生したかのように聞こえるが、実はその前に判断材料があるにもかかわらず見落とし、判断せずに進行してしまったため事故に至ったケースがほとんどだという

    事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』
  • 『ボーン・コレクター』から始めなさい

    読書クラスタには、「屈辱」というゲームがある。各人、メジャーだけど未読の作品を挙げてゆき、既読の人が多ければ多いほど高ポイントになる。「おまえソレ読んでないなんてどんだけw」と笑われる人が勝ち、というゲームだ。 ミステリの屈辱ゲームで、「ジェフリー・ディーヴァー読んでない」と言い放ったら、笑われるだけでなく、羨ましがられた。ディーヴァー知らないミステリ好きは、("ミステリ好き"と名乗って良いかどうかは別として)幸せ者らしい。なぜなら、睡眠時間と引き換えに、ジェットコースターミステリーを堪能できるから(寝かせてくれない面白さ、だそうな)。そして、ディーヴァーの作品は沢山あるけど、必ず最初は、『ボーン・コレクター』から始めなさいと、しつこいくらい念を押された。 残念ながら、眠くなる前に読み干してしまったので、徹夜小説とはなり得なかった。だが、これは確かに、やめられない止まらない。わずか数日の間

    『ボーン・コレクター』から始めなさい
    takeishi
    takeishi 2014/06/23
  • コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』

    「嘘つきは経済学者の始まり」という諺があるが、コンサルタントも入れるべき。 中の人として働いたことがあるので、その手法は分かってる(まとめ:[そろそろコンサルタントについて一言いっておくか])。だから書は、徹頭徹尾、黒い笑いが止まらない。騙される幹部が悪いのだが、振り回される社員はたまったものではない。ファームであれジコケーハツであれ、理論武装を「外」に求める人は、予習しておこう。あるいは、コンサルティングを「説得の技術」と捉え、逆にそこから学ぼう。 書は、マジシャンが種明かしするようなもの。コンサルタントの方法論である「適応戦略」や「最適化プロセス」「業績管理システム」は、役に立たないどころか、悪影響にもなると暴きたてる。著者は経営コンサル業界で30年も働いて、いいかげんこの「お芝居」にウンザリして、懺悔の名を借りた曝露を出したという。その具体例が生々しい&おぞましい&あるある。

    コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』
  • このハヤカワがスゴい!

    オススメをもちよって、まったり熱く語り合うスゴオフ、今度は「ハヤカワ」だ。 つまり、早川書房が肴だ。SF、NV、JA、HM、NF、FT、epi、演劇、もちろんハードカバーやミステリマガジンもOKだ。それではと、ハヤカワ・マイベストを選ぼうにも……これがすっごく難しい。「この新潮文庫がスゴい!」と同じで、素晴らしいがありすぎるのだ。 「ハヤカワといえばSFだろ常識的に考えて」、「ハヤカワといえばミステリの王、いや女王」という意見がある。全面的に賛成……なのだが、わたしの傾向では、NV(ノヴェル)やNF(ノンフィクション)を好んで読む。シリーズ丸ごと推したいのがハヤカワepi文庫。epiとは、"epicentre"の略で、「震源」のこと。海外小説の素晴らしさを伝える発信源たる思いが込められているという(こっそり「よりぬきハヤカワさん」と呼んでいる)。スゴが、傑作が、徹夜小説があまりに多

    このハヤカワがスゴい!
  • さよなら、プリキュア

    はっきりいって、俺サマ大勝利の気分だった。 人目を気にしぃ映画館に集結するヲタを尻目に、「パパと一緒に観ようね」と娘の手を引き入場行進できる優越感。「ミラクルライトは子どもだけ」という制約には、「2回行けば平和的解決」とオトナの対応。 しっかし、今度のプリキュアはスゴいね、ごく普通の、ただの女の子、なんたって戦わないプリキュアだもの。抱きしめるだけで昇華させられるって、なんという女神だろう。わたしの知る限り史上最短は10センチ爆弾だけど、そいつを超えるゼロ距離攻撃だぜ。 大切な人を守りたい そんなやさしい心があれば 女の子は誰だって プリキュアになれる! だから俺だってプリキュアになれる!ピンチのときは「プリキュアに、力を!」と(心の中で)唱えつつ、ジャラジャラさせながら歴代ミラクルライトを一斉に点ける。月光に照らされた蛍の群れのような館内で、ここだけ薔薇色と日光の輝きに満ちあふれる。「な

    さよなら、プリキュア
    takeishi
    takeishi 2012/04/02
    なんで女の子(男の子もか)は「卒業」したがるんだろうか。4歳の甥っ子に「ボクはもう大人だからアンパンマンは見ないんだ」と言われた時はすごいカルチャーショックだったよ