『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『バカとテストと召喚獣』……。 こんなタイトルの文庫を書店で見かけることが増えた。アニメ調のイラストのカバーに挿絵も入った、ライトノベルと呼ばれる作品群が出版市場を席巻している。 「基本的には中高生向けの娯楽小説。ファンタジーやSF、ラブコメなど、分野は多岐にわたります」(ライトノベル評論家・榎本秋氏) ライトノベルは文庫全体の売上げ約千三百億円のうち約二〇%を占め(〇九年)、〇四年から一三%も増加しているのだ。出版不況の昨今、ライトノベルの売上げが伸びているのは何故か。 「中高生以外にもオタクを購買層にしている点が強い。彼らは不況でも趣味や娯楽への購買意欲が衰えない。文章に絵文字が組み込まれていたり、『2ちゃんねる』やメールの文体に慣れた若い世代に受け入れられやすいんです」(ライトノベル担当編集者) ライトノベルを原作とした深夜アニメが増えたのも理由