7月13日。京都市南区の任天堂本社は、深い悲しみに包まれていた。 代表取締役社長の岩田聡(55)が胆管腫瘍のため11日に逝去──。プレスリリースと同時に任天堂社内に知らされた訃報はあまりに突然だった。わずか2週間前には、株主総会の議長を精力的に務め、社長に再任された矢先の出来事だ。「誰もが岩田さんは快方に向かっていると思っていた」(任天堂社員)。 2014年6月、岩田が胆管腫瘍の治療のため株主総会を欠席するという発表は、周囲に衝撃を与えた。8月に現場復帰すると、そこからの“変調”は明らかだった。 3月にはディー・エヌ・エー(DeNA)と資本提携を結び、スマートフォンゲームを共同開発すると発表。DeNA社長の守安功によると、「発表する半年前から、現場同士でうまく一緒に仕事を進められるかについて、かなり細かく議論していた」。復帰間もない岩田はDeNAとのスマホゲーム開発の仕込みに着手していたの