巻頭言〜.indd2 森 田 稔 文化財の毀損事故−文化財の燻蒸事故を中心に− 1． はじめに 近年文化財の毀損事故が目立って発生してい る。 文化庁美術学芸課が把握している指定文化財 の毀損事故は平成17年度から本年度にかけて20 件という集計を公表している （11月22日に文化庁 が開催した 「公開承認施設緊急会議」 資料） 。 そこ で示された事故概要によると， 主に取扱いの問題， 輸送中の振動， 経年劣化などに分けることができ る。 また環境， 特に空調に関わる事故もあるが， 近 年の複雑化した 「先進」 機器は想定を超えた動きを みせるため， 今後新しい博物館施設では常に問題 を生じさせる可能性を持っている。 2． 事故の概要 ここでは九州地区などの9月17日付朝刊で， 大 きく報道された燻蒸事故について述べる。 最も詳 細にその内容が報道された高知新聞9月16日夕 刊と翌17日朝刊によると， 燻
