早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問 野口悠紀男 (1)消費税の増税が政府から提案されている。 2014年と15年で税率を計5%引き上げる。 これによって財政再建ができるだろうか? しかし、実際にはそうはならない。図は、国債依存度の推移を示したものだ。増税直後は状況が若干改善するが、大きな変化ではない。 そして、2、3年すると状況はもとに戻ってしまう。つまり「焼け石に水」ということである。 こうなる理由は、2つある。一つは、税収のかなりが地方に回されること。 第2は、支出の伸びのほうが税収の伸びより高いことだ。 (2)それでは、財政再建のためには、どの程度の増税が必要か? 一般会計の財政赤字をGDPの3%以内にしようとすれば、消費税だけなら税率を30%程度に引き上げる必要がある。これは到底不可能だろう。 つまり、日本の財政赤字はきわめて深刻な状態であり、増税だけでは対処するこ