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ブックマーク / yubais.hatenablog.com (8)

  • 科学に国境はないが科学者には任期がある - 1400字制限

    大学をやめた。これはいわゆる退職エントリである。天皇陛下も来月退位なさるわけだし、明治天皇の崩御にあわせて「殉死」をとげた乃木大将のごとく我々も職を辞して「殉職」をするべきである。と思ったけど殉職も死ぬやつだからダメだな。なんて言うんだこの場合。 のっけから日語力の不足を露呈してしまったが、僕は小説家である。2016年に『横浜SF』という小説をWeb投稿したらバズって書籍化して、そのあと『重力アルケミック』とか『未来職安』という単行を出した。今年も長編新作が出る予定。あと漫画原作者として『オートマン』というのを連載して2巻がもうすぐ出る。小説雑誌に短編もいくつか出してる。Web出身作家としてはまあまあ上手くいっている部類だと思う。 で、「業は研究職です」ということをあちこちで言っていたが、ご存知のとおり今どき大学の研究職は多くが任期付き(契約社員のようなもの)であり、今回その任期が

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    toya
    toya 2019/04/01
  • 整数のない数学体系について - 1400字制限

    テッド・チャンの「あなたの人生の物語」は、物理認識が人間とまるで異なる宇宙人とのファースト・コンタクトを描いたSFである。我々が物理を各時刻に起きる相互作用として微分的に認識しているのに対し、作に出てくるヘプタポッドなる生物は変分原理をベースとして積分的に(と言うべきだろうか)世界を認識している。 あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF) 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2003/09/30 メディア: 文庫 購入: 40人 クリック: 509回 この商品を含むブログ (399件) を見る (ちなみに映画化もされたが、こっちは物理認識のエッセンスが出てこないのでこの話とは関係ない。) というわけで僕も数学認識が人類とまったく違う生物を描いたSFを書いてみたいと思う。二番煎じもはなはだしいが、二番煎じでも十分に味がある

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    toya 2018/06/13
  • 小説稼業1年目終了 - 1400字制限

    去年のクリスマスにデビュー作『横浜SF』が発売されたので、これで小説稼業1周年という事になる。単行は3冊、小説雑誌の寄稿がいくつか。 小説家というのは5年続けば一人前らしいので、とりあえず0.2人前と言っていいだろう。重量でいうと足先から太もものあたりまでだ。「下半身だけは一人前の小説家」という言い方もできる。 1年続けて思ったことをメモ程度に書く。 ■小説家は当たれば儲かる。 当たり前じゃねーかと思うかもしれないが、大学の研究職は当たっても儲からない。企業研究者ですら当たっても儲からないので中村修二が裁判をした事は有名。その点、小説家は当たったぶんだけダイレクトに儲かるので話が早い。 1年間の小説稼業で得た金額は研究職の年収よりもだいぶ多い。だいぶは2倍から10倍の間を指すと思ってほしい。つまり唐突に大学を追い出されても数年は何とかなる。今にも任期が切れそうな研究員としてはたいへんあ

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  • ホイップクリームをボウルいっぱい食べる事と、小説を書く事 - 1400字制限

    このまえ小学校の卒業アルバムを見ていたら「将来は小説家になりたい」と書いてあって、そうか僕は小説家になりたかったのか、ということを思い出した。 先月「横浜SF」の書籍化が決まったので、これで小学生時代の夢は叶ったことになる。ちなみに中学時代の夢は「作曲家」で高校時代は「研究者」なので、3つの夢のうち2つは叶ったわけだ。なかなか悪くないスコアだ。 ところで、将来の夢というのは暗黙的に「職業」を書くものと決まっている。子供なのだから「ホイップクリームをボウルいっぱいべたい」とかいうことを書いてもいい気がするのだが、そういうのを書くと先生に訂正を求められる。学校教師というのは基的に公務員であり、つまり国家の走狗となっていたいけな子どもたちを管理教育し将来の納税者に育て上げるのが仕事なので仕方ない。 僕は空気の読める子供だったので小中高とちゃんと職業らしい夢を書いてきた訳だけれど、いまから考

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    toya 2016/08/01
  • 小型二輪AT限定免許をとった - 1400字制限

    先日いろいろあってバイクの免許をとった。「小型二輪AT限定」という極めてみみっちい免許だ。 以前書いたように僕は移動趣味者(観光地を点として巡回する旅行ではなく移動そのものを趣味とする人種)なので、移動手段のひとつとしてバイクには以前から興味を持っていたが、四輪免許取得にかなり苦労したのでいまさら教習所に行くのも億劫だと思っていた。 しかし実際に行ってみると、四輪を既に持っているなら二輪はわりと簡単で、小型二輪であればさらに簡単で、AT限定ともなればもはや「歯医者行って親知らずを抜くほうが大変」というレベルだった。教習9時間プラス実技試験(学科試験なし)で、教習所に6回くらい行ってそのあと免許センターに行ったらあっさり取れた。費用は7万円ほど。 バイク趣味者であれば小型二輪AT限定などバイクとして認めないかもしれぬが、僕はバイク趣味者ではなく移動趣味者であり、移動趣味者というのは移動の風情

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  • 聖書趣味ついて - 1400字制限

    聖書にはこうある「剣を使うものは剣によって滅びる」(マタイの福音書26章52節)。頼れるのは己の筋肉のみだ— イスカリオテの湯葉 (@yubais) 2016年5月29日 ハンドルネームで分かると思うが僕はキリスト教徒である。少なくとも信仰について聞かれる機会があったらそう答えている。僕は祝日に日章旗を掲げたりしないけれど日人だし、「父母を敬え」「偽ってはならない」といった十戒をろくに守ってないけどキリスト教徒だ。 小学生のころは日曜のたびに教会に通っていて低年齢向けにアレンジされた聖書を読んでいた。当時からダーウィン進化論というものは知っていたが、それが聖書の教える創造論と矛盾している事を気にしたことは無かった。 なぜ気にしないのかと言えば、別に聖書の記述がフィクションだと見抜いていた訳ではなく、子供はその程度の矛盾は受け入れられる仕様になっているからだ。学校で「かめはめ波」や「アバン

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  • 横浜駅SFのこと - 1400字制限

    横浜駅が自己増殖して日列島を飲み込む「横浜SF」という小説を「カクヨム」にて掲載しています。「あらすじだけで腹筋が崩壊する」など多方面で好評をいただいてまことに光栄に思います。 kakuyomu.jp この話が出来た経緯 2015年1月4日の「横浜駅は生命体である」というネタツイート 同日 なぜか Twitter 連投小説化 (Togetter) 同年5月〜11月 なぜか長編小説として連載 (Tumblr) 2016年2月29日 Web小説コンテストに応募 (カクヨム)、外伝的なものを連載開始 同年3月9日時点 なぜかランキング総合1位 という感じで、作者の手に余るところまで自己増殖してきたところです。おかげで最近はろくにご飯もべられず、ベルトの使ったこと無い穴を使いはじめました。 これって○○のオマージュ? Twitter版はほとんど弐瓶勉の「BLAME!」パロディのつもりで書いて

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  • アボガドロ数とアボカドの数はどっちが多いか - 1400字制限

    【問題】どっちが多い?— イスカリオテの湯葉 (@yubais) November 6, 2015 アボカドの出荷量は年間400万トン程度。1個300グラムとして100億個程度なので、成熟前のものや出荷されないものを含めても10^11程度だろう。アボガドロ数は 6x10^23 なので12桁違う。桁違いの桁が違う。 「化学のモルが分からなくて理系を諦めた」という人をよく見る。モルは原子の数を扱う単位で、鉛筆をダース(12個)単位で数えるのと同じようなものである。「なんでそれが分からんのかが分からん」と僕は思うが、なにしろ数がべらぼうに大きい(60,000,000,000,000,000,000,000個 = アボガドロ数)せいで人間の思考能力を破壊するのかもしれぬ。そこでアボガドロ数を色々なものと比較してスケール感を掴もうと思う。 地球をアボガドロ数個に分ける 地球を巨大なヨーカンだと思い*

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    toya 2015/11/08
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