●16日・17日と、日本近世文学会春季大会が早稲田大学で開催された。16日は早朝から家を出て早稲田へ向かった。大会は午後であるが、同時開催中の「近世文藝の輝き」展を拝見したかったからである。この近世貴重書展では、全142点というが、さすがに早稲田大学らしい貴重な資料が展示されていた。 ●私が、まず、目を見張ったのは、柱の所に附録のような体裁で展示されていた、「漆山天童日本小説年表カード」であった。私達は、昭和4年刊行の山崎麓編纂『日本小説書目年表』には、長年、多大の学恩を蒙ってきたが、この年表の例言に、漆山天童氏のカードを参照したと記されている。そのカードを、今、見ることができたのである。小型のカードに丁寧に書き込まれた文字、玉英堂書店の袋に入れられたカード、パソコン全盛の現在の研究者にはわからない苦労が一杯あったと思われる。この1点を見ただけでも、今日は有り難かった。 ●「漆山天童旧蔵資